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フロリダ半島はなぜ低く平らなのか 浅い海で積もった石灰岩の台地

公開日

フロリダ半島は長く海へ突き出していますが、日本列島のように中央を高い山脈が走っているわけではありません。低い土地が広く続くのは、半島の土台が、浅い海で長く積み重なった石灰岩などの厚い層だからです。

しかも、その土台は現在の海岸線で終わりません。海底へ続く広い「フロリダ台地」のうち、水面上に現れている部分が、私たちが地図で見る半島です。半島の輪郭と地下の土台の輪郭を分けると、海面の上下で陸の広さが大きく変わってきた理由が分かります。

山脈の背骨ではなく、広い海底で育った土台

半島という言葉は、三方を海に囲まれた陸地の形を表すもので、でき方までは決めていません。山脈が海へ延びた半島もあれば、低い台地が水面上へ現れた半島もあります。フロリダの広い低地では、後者の性格が重要です。

地下に厚く重なるのは、石灰岩や苦灰岩などの炭酸塩岩です。浅い海で生物の殻や骨格、細かな炭酸カルシウムの粒などが堆積し、固まってできました。広い海底に積もった層が、山脈のように強く折り畳まれて高くそびえる地形とは、成り立ちが異なります。

堆積物が厚いなら高山になりそうですが、積み重なる重みなどで土台も沈み込みました。海底で厚く積もることと、その厚さの分だけ海面上へ高くなることは同じではありません。

サンゴだけではない、石灰岩をつくる生物

石灰岩と聞くと、サンゴ礁を連想するかもしれません。しかし、フロリダの石灰岩をすべて一枚の古いサンゴ礁と考えるのは不正確です。貝類、ウニ類、有孔虫など、さまざまな生物の硬い部分が材料になります。

たとえばオカラ石灰岩には、温暖で浅い海にすんでいた生物の化石が豊富に含まれます。小さな殻や破片が海底へたまり、圧縮や粒同士の接着を経て岩になりました。地上で見つかる海の化石は、そこがかつて堆積の場だった証拠です。

一方、南部のアッパーキーズをつくるキーラーゴ石灰岩では、古いサンゴ礁の骨格が重要です。同じ州の石灰岩でも、形成時代と環境が違うため、中に残るものも一様ではありません。

現在の半島より広い、海面下のフロリダ台地

フロリダ地質調査所は、フロリダ台地の広がりを、現在露出する半島のおよそ2倍と説明しています。西側などでは現在の海岸の先にも浅い大陸棚が続き、土台が海中へ張り出しています。

緩く傾いた土台の上で、海面が下がったらどうなるでしょうか。広い範囲の海底が新しく陸になり、逆に海面が上がれば、低い陸地へ海が入り込みます。切り立つ海岸に比べて、水面の上下に対する海岸線の横方向の移動が大きくなるのです。

緩い斜面では、海面の変化が陸の幅を大きく変える
同じ形の土台に対し、上段は海面が高く水面上の幅が狭い。下段は海面が低く、以前は海中だった部分が陸になっている。

海面と陸の幅の関係だけを示す模式断面です。フロリダの実測断面や特定年代の復元ではありません。高さと斜面を強調し、地盤の変動や堆積・侵食は一定としています。青い線はそれぞれの海面です。

したがって、過去のフロリダが今より広かったとしても、その期間に半島の両側へ大量の新しい岩が付け足されたとは限りません。すでにあった土台が、海面の変化で露出した可能性があります。

北の山脈から届いた、砂と粘土の上掛け

フロリダの地表は、どこでも白い石灰岩がむき出しになっているわけではありません。新生代の後半には、北のアパラチア山脈などが削られてできた石英の砂や粘土が、川と海流で運ばれてきました。それらが石灰岩の上を覆っています。

以前は北側を流れる海流が、山からの砂や泥が南へ届くのを妨げていました。海域や流れの条件が変わると、半島側へ陸源の堆積物が入り込むようになります。石灰岩が形成された浅い海と、後から砂が広がった時代は、分けて考えたいところです。

海岸の砂浜に立っていても、その下まで砂だけが続くとは限りません。表面の薄い景色と、半島全体を支える厚い地質構造は、別の尺度の話なのです。

低く平らでも、地下には発達する水の通り道

石灰岩は硬い岩石ですが、弱い酸性の水にも不変ではありません。大気や土壌から二酸化炭素などを取り込んだ雨水が、割れ目を通る間に岩を少しずつ溶かし、水の通り道を広げることがあります。こうして洞窟や泉を伴うカルスト地形が発達します。

フロリダでは、この炭酸塩岩の透水性の高い層が大きな帯水層を構成しています。地表に急な山や深い谷が少なくても、地下水は複雑な経路を通ります。平らな地表から、一様で隙間のない岩盤を想像することはできません。

ただし、半島全体の平らさを、石灰岩が溶けたことだけで説明するのも行き過ぎです。広い海底に堆積した土台という大枠の上に、溶解や侵食、砂の堆積による細かな地形が重なっています。

低地の中の丘陵と、海面が刻んだ輪郭

フロリダにも、中央部などに丘陵や高まりがあります。州の全域が海面すれすれの水平面ではありません。古い海岸や堆積面、砂の厚さ、侵食の違いが、低いながらも起伏をつくっています。

それでも全体として高山が少ないのは、厚い炭酸塩岩の土台が、激しく圧縮された新しい山脈とは違う歴史を持つためです。海がつくった岩の上に、海面の変動が半島の輪郭を描き、北からの砂と地下水がその表情を変えてきました。

参考資料

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