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ドミニカ島のボイリング湖はなぜ熱いのか 火山の熱と雨水が出会うくぼみ

公開日

カリブ海のドミニカ島にあるボイリング湖は、火山の熱が水へ伝わる場所です。湖面の下に赤い溶岩が露出し、その上で水が直接煮られているわけではありません。雨に由来する水と、地下から供給される熱やガスが組み合わさった、火山性の熱水活動です。

この湖では、水温だけでなく水位も大きく変わり、一時は水がほとんどなくなったこともありました。なぜ、水をためるくぼみが残ったまま、湖が排水されるのでしょうか。水を押し上げるガスと、出入りする通路の変化が、その理由に関わっています。

熱い湖の下にある、岩を通じた水とガスの循環

ボイリング湖があるのは、小アンティル諸島に属する火山島、ドミニカ島の南部です。名称が似ていても、イスパニョーラ島のドミニカ共和国ではありません。湖と、その近くのデソレーション谷の一帯で、火山性の熱水活動が見られます。

雨水の一部は、地表から岩の割れ目などへ入り込みます。地下で熱を受けた水やガスが上昇し、熱を運んだ先が、地表の湖です。湖へ入る水と、地下へ出入りする水。目に見える水面だけでは、その循環の一部しか分かりません。

火山の熱源と湖の間を結ぶのは、こうした流体の移動です。地表から見える湖は、その循環が現れた一部分であって、地下の全体像そのものではありません。

湖は、火山性の熱水循環が地表に現れた部分
雨に由来する水が岩へ入り、地下の熱やガスと関わりながら湖へ戻る概念断面。湖底に溶岩は描いていない。

地下水路や熱源の位置は実測ではありません。ガスは熱の供給だけでなく水の上昇にも関わり、通路の変化などで水位や温度が変わり得ます。

泡立つ水面と、湖全体の温度は別の情報

「沸騰する湖」という名前から、隅々まで常に100度の水があるように感じるかもしれません。しかし、西インド諸島大学の地震研究センターは、通常の活動時に湖の縁で測られる温度を、およそ90度と説明しています。

水の沸点は気圧にも左右されます。また、水面の泡には地下から上がる火山ガスも関係するため、泡の多さだけから湖全体の温度を決めることはできません。観測地点、温度計の値、ガスの活動は、区別して扱う情報です。

水を上へ押すガスが、水位にも関わる仕組み

研究では、地下の通路を上昇するガスの泡が、水を押し上げて湖の水位を保つ働きを持つと考えられています。通路が詰まるなどしてガスの供給が弱まれば、押し上げる力が減り、水位が下がり得ます。

雨が少なくなり、普通の池が徐々に干上がる場合とは事情が違います。水源だけでなく、地下で水を動かす条件にも左右される水位です。ただし、水位低下の理由は一つに限りません。湖を囲む縁が壊れ、水が流れ出る可能性も検討されています。

ただし、地下を直接すべて観察できるわけではありません。水位、温度、水やガスの成分、周辺の活動を照らし合わせ、どの経路が変化したのかを推定していく研究です。

2024年に観測された、排水と再び満ちる過程

大学の報告によると、2024年3月26日に大きな水位低下が確認され、29日には水がほとんど見られない状態になりました。その後、4月11日までに水位と活動はほぼ通常の状態へ戻っています。

この記録が示すのは、湖の形が残っていても、中の水の量が短期間で変わり得るということです。逆に、撮影された一枚の写真だけでは、それが長く続く状態なのか、一時的な変動なのかは判別できません。

水位低下だけでは判断できない、火山の状態

湖の水がなくなると、大噴火の前触れではないかと考えたくなります。しかし、地震研究センターは、排水が必ず火山噴火につながるわけではないと説明しています。熱水の通路の変化と、新しいマグマの上昇を同じ現象として扱うことはできません。

一方で、水位低下や一時的な冷却を、安全になった証拠とみなすことも誤りです。熱水系では蒸気やガスの急激な放出が起こり得るため、見た目の静かさと活動の危険性は一致しません。

ボイリング湖の特徴は、単に熱い水があることではありません。雨水、地下の熱、上昇するガス、出入りする通路。その釣り合いが変わるたびに、同じくぼみの水面が違う姿を見せるところにあります。

参考資料

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