プロスペクト理論とは何か
予想より安かった入場券と、落とした千円。同額の損得を手がかりに、参照点、損失回避、確率の重みづけを図で解説します。
値引きに心が動く。予定を先延ばしする。
やめたいのに「もったいない」と感じる。
人の選択は、好みや性格だけでは決まりません。比べる基準、伝えられた言葉、負担が生じるタイミングにも影響されます。行動経済学は、こうした人間の判断を、心理学の知見や実験と結びつけて研究する分野です。
「人は間違える」と言うだけなら、学問にする必要はないでしょう。行動経済学が問うのは、どの条件で、どのような選択の変化が起こるかということです。1979年のプロスペクト理論や、セイラーによる心の会計の研究は、損得や支出の評価を従来より細かく説明する道を開きました。
ただし、効果の名前は性格診断ではありません。高い品を選ぶことにも、作業を延期することにも、合理的な理由がありえます。実験の条件と日常の事情を区別してこそ、理論が説明する面白さと、その限界の両方が分かります。
損得の基準、お金の使い道、持ち物への愛着が変える価値。
最初に見た数字、情報の示し方、候補や初期設定が変える選択。
未来の予定と過去の出費が、今の選択に及ぼす影響。
一部の心配をなくすことと、全体の損失を減らすことの違い。
分野の背景:ノーベル賞公式サイトによるセイラーの研究解説。各理論の原論文・研究資料は記事末尾に掲載しています。