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ニューファンドランド沖に霧が多い理由 冷たい海と暖かく湿った空気

公開日

ニューファンドランド沖の霧は、冷たい海の上へ暖かく湿った空気が流れ込み、冷やされることで発生します。「暖流と寒流が出会うから」と説明されることがありますが、海水同士がぶつかって白い湯気を出すわけではありません。霧の水滴になるのは、空気中の水蒸気です。

島の南東側に広がるグランドバンク周辺では、ラブラドル海流に関係する冷たい水と、暖かい海域から運ばれる湿った空気が接しやすくなっています。海の温度分布と風向きが組み合わさり、広い範囲の視界を白く閉ざすのです。

暖かい空気が、冷たい海面で冷えるまで

白い霧を、水蒸気そのものと考えていないでしょうか。水蒸気は目に見えない気体で、白く見えるのは小さな水滴の集まりです。霧が発生する過程では、気体だった水が、液体の粒へ変わっています。

湿った空気を冷やすと、含まれる水蒸気の量に対して飽和に近づき、露点まで下がれば水滴が生じ得ます。身近な例は、冷たい飲み物の容器の外側に付く水滴。ただし海上の霧では、水は容器の表面に付くのではなく、海面近くの空気中に小さな粒として浮かびます。

同じ白い霧でも、冷却と蒸発では仕組みが違う
上段は暖湿な空気が冷たい海の上で冷えて水滴になる移流霧。下段は冷たい空気へ暖かい海から水蒸気が加わる蒸発霧。

温度差を比較する模式図です。上段の下向き矢印は空気の冷却を、下段の上向き矢印は蒸発を示します。水滴の大きさや密度は実測ではありません。

寒流が用意する冷たい面と、風が運ぶ湿った空気

ニューファンドランド周辺へ冷たい水を運ぶラブラドル海流と、その南側の暖かい海域。この海面の温度差に、空気の移動が重なります。メキシコ湾流などに関係する暖かい側から、風が湿った空気を運べば、冷たい海の上で空気の下部が冷やされるのです。

空気が水平に移動し、冷たい面へ乗り上げて生じる霧を移流霧と呼びます。冷たい面を用意する海流と、そこへ空気を供給する風。海と大気が、それぞれ違う役割を担っています。

したがって、暖流と寒流の位置だけで、その日の霧を決めることはできません。空気が乾いていれば、冷やされても水滴が生じにくい場合があります。風がどちらから来るか、どれほど湿っているかも必要な条件です。

春から夏に霧が目立つ、海と空気の温まり方の差

カナダ政府の説明では、大西洋側の霧の季節は7月に最大となります。寒い冬ほど霧が多いと考えがちですが、冷たい海面の上へ暖かく湿った空気が来るという組み合わせは、春から夏にもよく現れます。

空気が暖かくなる季節でも、海面はその場所の海流や混合の影響を受けています。海と空気が同じ歩調で温まるとは限りません。この温度差が、湿った空気を冷やす条件になります。

ただし、霧は夏にしか発生しないわけではありません。カナダ沿岸警備隊は、グランドバンクでは一年を通じて霧が重要な現象であると説明しています。季節のピークは、他の季節に霧がないという意味ではないのです。

風があっても続く霧と、朝だけの霧の違い

陸上の朝霧には、晴れた夜に地表が冷えることで生じ、日差しや風で消えるものがあります。その経験から、風は霧を散らすものと思うかもしれません。しかし海上の移流霧では、その風が暖湿な空気を補給している場合があるのです。

暖湿な空気の供給が続けば、風があっても霧は持続し得ます。逆に、風向きが変わって乾いた空気が入れば、同じ状態は続きません。空気が暖かい面へ移動したり、混合が強まったりすることも、霧が薄くなる要因です。風の有無だけでなく、その風が何を運び、どこへ動かすかが問題になります。

冷たい空気が暖かい水へ来る、反対の仕組み

海から湯気が立つように見える霧も、同じ成り立ちとは限りません。冷たい空気が比較的暖かい水の上へ来て、海面から供給される水蒸気が凝結するのが蒸発霧です。移流霧とは、海と空気の温度関係が反対になります。

白い水滴が浮かぶという見た目が似ていても、冷やされる暖かい空気が来るのか、暖かい水から冷たい空気へ水蒸気が加わるのかは違います。ニューファンドランド沖で頻繁に問題となる移流霧は、主に前者です。

冷たい海流の地図に、湿った空気を運ぶ風を重ねる。そうすると、霧の多い海が、単に寒い場所でも、海流の衝突地点でもないことが分かります。海と大気の異なる動きが接するところに、白い水滴の層が生まれているのです。

参考資料

北アメリカ 地理・地図の疑問 気候と地形

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