平らな頂上と、切り立った崖。アメリカ南西部の写真には、巨大なテーブルを大地に置いたような山が幾つも登場します。ところが、その一つ一つが地下から別々に押し上がったわけではありません。
多くは、かつて広く続いていた地層の残りです。川が谷を刻み、崖が崩れて後退する一方、削られにくい層が上面を守る。コロラド高原を代表するメサやビュートは、山が増えたというより、周囲の大地が失われることで際立った地形なのです。
広いメサと、細く孤立したビュート
メサはスペイン語で「テーブル」を意味する言葉です。地形としては、比較的広い平らな頂上と急な側面を持つ高まりを指し、そこからさらに小さく孤立したものがビュートと呼ばれます。
両者に、世界共通の厳密な面積の境界があるわけではありません。大きな台地が谷で分断され、残った部分の幅が狭くなるという連続した変化に、形を表す名前が付いていると考えると自然でしょう。
さらに侵食が進めば、細い岩の塔が残ることもあります。ただし、どのメサも必ず同じ順序でビュート、塔へ変わるわけではなく、地層の厚みや割れ目によっては、途中で大きく崩れて姿を失います。
崖の段差を決める、地層ごとの削られやすさ
南西部の岩壁に横向きの帯が並ぶのは、砂や泥が異なる環境で積もった名残です。キャニオンランズには、川や湿地、砂丘などに由来する地層が重なり、過去の景色が上下方向に保存されています。
そうした層は、同じ速さでは削れません。粒同士が強く固まった砂岩などが崖や棚として残る一方、崩れやすい層は斜面になりやすく、地層の違いが階段状の輪郭を生むのです。
上に残って下の層を保護する岩は、キャップロックと呼ばれます。帽子のような役割ですが、完全な屋根ではありません。雨水は割れ目へ入り、下の層も横から削られるため、上面が丈夫でも山全体の縮小は止まりません。
差別侵食と崖の後退を示す模式図で、特定の岩山の実測断面や年代別復元ではありません。破線は失われた硬い層の位置です。すべてのメサが同じ順序でビュートになるわけではありません。
頂上を削るだけではない、崖の後退
岩山の縮小は、頂上が低くなることだけを意味しません。メサの側面では、下部が崩れたり割れ目が広がったりすると、支えを失った上の岩が大きな塊として落ちます。こうした崩落の繰り返しによって、崖そのものが後退するのです。
頂上の高さがあまり変わらなくても、縁が内側へ移れば面積は小さくなる。このため、広い台地と細い岩山が似た高さで並ぶ景色を、かつて続いていた地層の断片として説明できる場合があります。
同じ高さに見えるというだけで、遠くの山まで同じ地層とは断定できません。それでも近接した崖に同じ岩の層が連続して確認できれば、失われた部分を復元する有力な手掛かりになります。
乾いた土地を大きく削る、短時間の激しい雨
砂漠の景色なので、風が岩山を削り出したようにも見えるでしょう。風は砂粒を運び、岩の表面にも作用しますが、この地域の谷や崖を形づくる力を風だけで説明することはできません。
普段は水のない谷筋でも、雷雨の後には大量の水が流れます。短時間の洪水が砂礫を運び去り、崖から落ちた破片も少しずつ下流へ移すため、乾燥地でも流水は地形を変える大きな力なのです。
植物や厚い土壌に覆われる場所が少ないことも、岩の輪郭を際立たせます。「水がほとんど働かないから岩山が残る」のではなく、水の働く時間が短くても、その作用が地表にくっきり現れる土地といえるでしょう。
海や砂丘の堆積物が、高原の上にある理由
地層ができた時代と、現在の岩山ができた時代は別です。低地や海に積もった物質が岩になり、その後に広い地域が隆起し、さらに川が谷を深くする。現在の景観には、この長い順序が重なっています。
キャニオンランズでは、かつて堆積物を受け取っていた土地が高くなるにつれ、川が地層を取り除く側へ転じました。グリーン川やコロラド川の深い谷と、その間に残る台地は、この関係にあります。
岩山の上面だけを眺めると平らでも、その縁から下を見れば深い谷がある。南西部で「平らな大地」と「険しい地形」が同居するのは、広い面を残しながら、その面を水系が切り分けてきたためです。
「メサ・ヴェルデ」が、厳密にはメサではない理由
名前と地形分類がぴったり重ならない実例が、メサ・ヴェルデ国立公園です。名前は「緑のテーブル」を意味しますが、全体は南へ約7度傾き、地質学的にはケスタと呼ばれる地形に当たります。
水平に近い硬い層が残れば、テーブル状の上面を持つ山になりやすい。これに対して地層が傾いていると、緩い斜面と急な崖が組み合わさった非対称の形になるのです。公園名は昔からの呼び名を保っていますが、地層の傾きには別の情報が含まれています。
こうして比べると、南西部の孤立した岩山は、一種類の奇岩ではありません。地層の強さ、傾き、割れ目、流水の通り道。それぞれの組み合わせが、広い頂上や細い塔、段々の崖という異なる姿をつくっています。