カリブ海の東側では、小さな島々が南北に弧を描いて並んでいます。その列には火山のある険しい島もあれば、石灰岩の台地が広がる島もあり、一つの方法でできた島々には見えません。
小アンティル諸島の弧をつくる基本の力は、大西洋側の海洋プレートがカリブプレートの下へ沈み込む運動です。ただし、今見える島の岩石は、その瞬間だけを記録しているわけではありません。古い火山活動、侵食、サンゴ礁の成長、地盤の上下が重なり、同じ弧の中に異なる姿を生んでいます。
大西洋側から沈み込む岩板と、カリブ海側の火山列
小アンティル諸島の東方では、北アメリカ・南アメリカ両プレートの大西洋側の岩板が、カリブプレートの下へ入ります。沈み込む側から供給される水が、上側のマントルの部分的な融解を助け、マグマの発生につながります。
火山が並ぶのは、海洋プレートが曲がり始める境界の真上ではありません。沈み込んだ岩板のさらに内側で、マグマが生まれ、上昇する条件が整った帯です。
個々の火山は別々の山ですが、広い範囲では同じ曲がったプレート境界の配置を反映します。海底に隠れた部分も含めた火山の列のうち、海面より高くなった場所が島として現れるのです。
北部で分かれる、古い外側の弧と新しい内側の弧
島々を詳しく追うと、マルティニークより北では、列が二つに分かれる傾向があります。大西洋に近い外側には古い弧があり、カリブ海寄りの内側には、現在も活動する火山を含む比較的新しい弧があります。
外側の島々では、古い火山性の土台が侵食を受け、浅い海の環境で生じた石灰岩などに覆われてきました。一方、モンセラートやグアドループのバス・テールなどは、内側の火山の列に位置しています。
したがって「石灰岩の島だから、火山とは無関係だった」とは言い切れません。地表に露出している新しい岩石と、島の深部や過去の成り立ちは、区別する必要があります。
実際の島数、個々の島の形や座標を示す地図ではありません。二重の弧が目立つ北部の構造を要約しています。下段は代表的な関係で、全島に同じ地層を当てはめるものではなく、付加体上のバルバドスには適用しません。
隣り合う二つの島に表れた、グアドループの違い
この対照が分かりやすいのが、グアドループの二つの大きな島です。西側のバス・テールにはスフリエール火山があり、東側のグランド・テールには、古いサンゴ礁に由来する石灰岩の地形が広がります。
近接した島でも、一方では火山の噴出物を中心とした山地、もう一方では海でつくられた炭酸塩の台地という違いがあります。海岸の石や崖の層を調べると、外形だけでは分からない島の履歴が現れます。
石灰岩の島も、その後ずっと動かなかったわけではありません。地質調査では、隆起したサンゴ礁の台地を断層が切っていることも確認されており、火山活動の有無と、地殻の変形の有無は同じではありません。
石灰岩に覆われるまでの、海面付近の時間
海でできた石灰岩が陸上にあるということは、その場所と海面の位置関係が変わったことを意味します。サンゴなどが育ち、炭酸塩の堆積物がたまる浅海の環境と、その堆積物が露出する段階は別です。
しかも、その変化には地盤の上下だけでなく、海面の変動も関わります。「火山が沈み、サンゴが覆い、そのまま持ち上がった」という一度きりの順序を、すべての島へ同じように当てはめることはできません。
火山岩がつくった土台と、その上に積もる石灰岩を区別すると、島の年齢も一つではないと分かります。古い土台の上に、ずっと新しい地層があり、その両方を侵食が削って現在の地形をつくっています。
火山の列から東へ離れたバルバドスの成り立ち
バルバドスは、この説明をさらに一歩進める島です。火山の弧より東に位置し、海底の堆積物が押し集められた付加体の高まりが、海面上へ出た部分に当たります。
沈み込む海洋プレートの上には、砂や泥などの堆積物も載っています。その一部が境界で削り取られ、折れ曲がり、重なりながら上側へ付け加わることで、付加体が成長します。
バルバドスでは、その高まりの上を浅い海のサンゴ礁由来の石灰岩が覆いました。隣の火山島が噴き出した火山灰の層はありますが、島そのものを溶岩が積み上げたわけではありません。石灰岩の島という外見が似ていても、古い火山の土台を持つ島とは出発点が違います。
弧状の配置に重なる、島ごとの異なる歴史
小アンティル諸島の弧は、海流が島を一列に運んだ跡でも、大陸が細かく割れて並んだだけの線でもありません。地下の沈み込みに伴う火山活動と変形が、長い帯状の地形を生み出しています。
その上で、どの時代に火山が活動したか、どこが浅海になったか、堆積物がどれだけ積もったかによって、島の表情は変わります。北部の二重の弧も、すべての島を機械的に二種類へ分類する線引きではなく、火山活動の場所が変わってきた歴史をつかむための大きな構図です。
同じ列にあることと、同じ岩でできていることは別。カリブ海の東縁の島々は、共通する地下の運動を背景に、それぞれ違う時間を地表へ見せています。