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アンデス山脈はなぜ大陸の西端に長く連なるのか 沈み込むプレートと山づくり

公開日

南アメリカの地形図では、高い山が大陸の中央ではなく、西側の縁に細長く連なっています。アンデス山脈です。太平洋に沿うこの配置は、海岸の近くに偶然たくさんの火山ができた結果ではありません。

大陸の西側は、海のプレートが大陸の下へ沈み込む場所です。その境界に沿って大陸側の岩盤が縮み、厚くなり、マグマも加わってきました。山脈の長さをつくるのは境界の長さ、山の高さや幅を変えるのは各地の地下構造。この二つを分けると、アンデスが一本の長い帯でありながら、場所によって違う姿を持つ理由が分かります。

大陸の西側に続く、海と陸のプレート境界

アンデスの大部分に対応する海底では、ナスカプレートが南アメリカプレートの下へ沈み込んでいます。プレートとは地殻と上部マントルの硬い部分を合わせた岩板のこと。海水そのものが大陸を押しているわけではありません。

ペルー・チリ海溝という細長い海底のくぼみが、沈み込みの入口に当たります。ただし、大陸側の変形は、その真上だけに限られません。岩板が東側の地下へ入り込むことで、大陸の内側まで広い造山帯が形成されるのです。

USGSの2015年の総括が扱うナスカプレート沿いの境界は、7,000キロメートルを超える規模です。ただし、アンデス全体の北端から南端まで、相手のプレートや境界の形が完全に同じという意味ではありません。まず押さえたいのは、西側に長く続く収束境界と、長い造山帯との対応でしょう。

横幅が縮むことで、厚みを増す大陸の岩盤

両側から押された敷物には、しわが寄ります。地層にも似た変形が起こりますが、岩盤の場合は折れ曲がるだけではありません。断層に沿って一方が他方へ乗り上げ、地層が重なり合うこともあります。

こうして水平方向の長さが短くなる変形を、地殻の短縮と呼びます。幅が減っても、そこにあった岩石が消えるわけではありません。折れ曲がりや重なりを通じて厚みが増し、表面の尾根だけでなく、大陸の地下構造もつくり替えられるのです。

その証拠の一つが、山の高い場所にある海成の地層でしょう。USGSはペルーのパチャパキ周辺で、変形して持ち上がった石灰岩の山々を紹介しています。かつて海で堆積した物質も、長い地殻変動を経れば山の一部になります。

山脈の位置を決める境界と、岩盤を厚くする変形
上段は西側の海洋プレートが東側の大陸の下へ沈み込む概念断面。下段は同じ断面積の岩盤を水平方向に短くすると厚くなる関係を示す。

位置関係と短縮の考え方を示す模式図です。アンデスの実測断面ではなく、海溝・山地・地殻の厚さや沈み込み角度は任意です。下段は面積を保った単純化で、実際の褶曲・断層・マグマの追加・侵食は本文で扱います。

山の高さを支える、地下の厚い地殻

厚くなった大陸地殻は、地表だけへ盛り上がるわけではありません。山地の下には、周囲より深くまで達する地殻の「根」に当たる部分もできます。中央アンデスの大きな厚みは、高い山地や高原を理解する重要な手がかりです。

比較的軽い大陸地殻と、その下の密度の高い岩石とのつり合いが、地表の高さに関わっています。ただし、地下に液体の海があり、その上へ山が浮かんでいる、という構造ではありません。マントルの大部分は固体であり、地質学的に長い時間の中で変形するのです。

地殻の厚さだけで高さが完全に決まるわけでもありません。深部の温度、密度の高い部分が剥がれて沈む作用、地下での物質移動なども研究されています。アンデスは、下から押し上げる一つの力だけで説明できる山脈ではないのです。

火山を並べる働きと、山脈を高くする働き

沈み込む岩板から放出された水は、上側の高温のマントルに加わり、岩石の一部を融けやすくします。岩板全体が摩擦で融けてなくなる、という仕組みではありません。こうして生まれたマグマが上昇する過程と、大陸の内側へ並ぶ火山とがつながっているのです。

アンデスの高い峰に火口がなくても、不思議ではありません。噴火で物質を積み上げる作用とは別に、既存の地層を断層や褶曲によって高くする作用も山づくりを担っています。

アンデスに海でできた石灰岩の山も火山もあることは、矛盾ではありません。同じプレートの収束が、異なる経路で地形をつくっているのです。

火山が途切れても続く、沈み込みと山づくり

アンデスの火山は、北から南まで等間隔に続いているわけではありません。沈み込む岩板の傾きが変わり、大陸の下を浅い角度で長く進む区間もあります。こうした低角の沈み込みは、活発な火山の帯が途切れる場所と関係しています。

上側のマントルが占める空間や、岩板から水が供給される位置が変われば、通常の火山帯を維持する条件も変わります。それでもプレート同士の収束まで止まるわけではありません。大陸内部の変形は、火山の有無だけでは判断できないのです。

USGSの研究では、海底の高まりが沈み込むことに伴い、低角の岩板、火山活動の欠如、大陸縁辺の変形が組み合わさる事例が整理されています。海の下にある地形も、陸上の山並みに関わっているというわけです。

ヒマラヤと異なる、海洋プレート沿いの山脈

高い山脈という点では似ていても、アンデスとヒマラヤは同じ条件でできたものではありません。ヒマラヤではインド側とユーラシア側の大陸同士の衝突が重要なのに対し、アンデスの大部分は海洋プレートが大陸の下へ沈む境界に対応しています。

どちらでも岩盤の短縮や地殻の厚まりは起こります。しかし、衝突する物質の性質、沈み込みが続く様子、火山帯の配置は同一ではありません。「プレートがぶつかると高い山ができる」という説明から、もう一段具体的な違いが見えてきます。

アンデスの位置を決めたのは、大陸の形を飾るような偶然ではなく、西側に続くプレート境界でした。その長い境界の各所で、岩盤が縮み、厚まり、火山が育ち、川や氷河が表面を削ってきたのです。細長く一続きに見える山脈の中に、多様な地形が収まっている理由もそこにあります。

参考資料

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