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カシキアレ川はなぜ二つの大河をつなぐのか オリノコとアマゾンを結ぶ分流

公開日

小さな支流が集まり、一本の大河になる。川の地図でよく見る形ですが、ベネズエラ南部のカシキアレ川は、別の大河から水を受け取っています。オリノコ川で枝分かれした水が、この川を通ってネグロ川へ入り、最後はアマゾン川へ達するのです。

人が大陸を横断して掘った運河ではありません。カシキアレは自然の河川であり、二つの巨大な流域をつなぐ珍しい分流です。この水路は、流域の境界が必ず高い山脈とは限らず、川の取り合いによって変わり得ることを示しています。

オリノコの分流であり、アマゾン側の支流でもある川

分岐点から先には、オリノコ川本流を下る道と、カシキアレ川へ入る道の二つがあります。後者は南西へ進み、グアイニア川と合流してネグロ川、さらにアマゾン川へと続きます。枝分かれしたあと、もう一度すぐに元の川へ戻る中州周りの流れではありません。

したがって、カシキアレはオリノコ側から見れば分流、アマゾン側から見れば支流です。同じ一本の川でも、どの水系との関係を表すかで呼び方が変わります。オリノコとアマゾンの本流同士が直接交差しているわけではありません。

二大水系をつなぐ分流と、途中から加わる水
上流オリノコ川からカシキアレ川が分かれ、途中の支流を集めてグアイニア川と合流し、ネグロ川、アマゾン川へ続く接続図。オリノコ川本流も大西洋へ続く。

水路の接続を示す図で、方位・長さ・川幅・流量を表す地図ではありません。支流は一部だけを描いています。下流の水量すべてがオリノコ川から移った水ではないことに注目してください。

海辺のデルタではなく、大陸内部での枝分かれ

川が分かれること自体は、珍しくありません。河口のデルタでは、土砂が積もって流路が変わり、海へ出る道が複数に分かれます。しかし、カシキアレは海から遠い内陸にあり、枝分かれした先が別の大河へ通じる点で特徴的です。

洪水時だけ低い土地を越える、一時的な流れでもありません。カシキアレには平常時にも水を運ぶ河道があります。では、別々だったはずの流域は、どうつながったのでしょうか。周辺の分水界の低さと、川が地面を削る働きが手掛かりになります。

一方の川が、もう一方の上流を取り込む「河川争奪」

川は、低いところへ流れながら地面を削ります。削る範囲が上流側へ伸び、隣の水系に達すれば、もとは別方向へ向かっていた水を取り込むことも可能です。こうした河川争奪によって、流域の境界は変わってきました。

2018年の研究は、カシキアレを、ネグロ川側がオリノコ上流を取り込みつつある途中の状態として説明しました。二本の流路が永久に安定した配分を保つというより、分岐点で水と土砂の行き先が変わり続けている可能性を示したものです。

流れやすさの差が、水の配分を変える仕組み

その研究では、1943年の測量資料などを用いて、二つの枝の河床や水面の勾配、流れを比較しています。カシキアレ側は、分岐後のオリノコ側より勾配が大きく、侵食を進めやすい条件にあります。

カシキアレ側が深くなって水を引き込みやすくなる一方、流量の減るオリノコ側で土砂がたまれば、配分の変化がさらに進む可能性があります。ただし、これを「何年にオリノコが消える」といった予測に置き換えることはできません。研究が扱うのは分岐の発達方向であり、完全な争奪が起きる時期を確定したわけではないのです。

出口の水量を、すべてオリノコ由来と数えられない理由

カシキアレは単なる連絡管ではありません。約350キロメートルの流路の途中に支流が入り、その流域に降った雨も加わります。入口と出口では、運ぶ水の量も水質も同じではないのです。

2000年の観測を含む2019年の研究は、オリノコ上流から分かれる割合をおおむね2〜3割と整理する一方、下流では支流の流入によって水量が大きく増えることを示しました。この割合は上流の分岐を指し、オリノコ川全体の河口流量に対する割合ではありません。アマゾンへ移ったオリノコの水を計算するなら、カシキアレの出口の全量を数えるのは過大評価になります。

線で引ける分水界と、水が通る地形の違い

地図では、オリノコ流域とアマゾン流域を別々の色で塗ると分かりやすくなります。しかし、自然の地形は必ずしも、その色の境界に完全な壁を用意してくれません。カシキアレには、境界を越えて水を運ぶ恒常的な道があります。

先住民に知られてきたこの水路は、後に探検や測量の対象となり、現在は衛星からもその分岐を確かめられます。二つの大河を結ぶという珍しさの奥には、川自身が河床を変え、流域の形まで変えていく働きがあるのです。

参考資料

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