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アマゾンの森はなぜ雨季に水没するのか 氾濫原の森と高い土地の違い

公開日

木の幹の間を魚が泳ぎ、小舟が森へ入っていく。アマゾンの水没した森林は、普段は陸上にある風景を、水の中へ沈めたように見えます。けれども、そのすべてが突発的な災害で生まれた姿ではありません。

大きな川の水位が季節的に上がると、低い氾濫原へ水が広がり、そこに育つ森も浸水します。一方、近くにあっても少し高い土地の森には、通常の増水では川の水が届きません。アマゾンの森は、一年中同じ状態の緑の平面ではないのです。

頭上の雨だけでなく、流域全体の水が上げる水位

川の水位は、その場に降った雨だけでは決まりません。上流の広い範囲に降った雨が支流を通じて集まり、本流の水位を押し上げます。増水した本流が、支流から水を流し出しにくくすることもあります。

したがって、ある森の浸水が最も深くなる時期と、その場所の雨が最も多い時期は、必ずしも一致しません。水が流れ下る時間や、別の支流の増水時期が関係するためです。「雨季の森」という写真にも、遠くの雨の影響が含まれています。

川岸を越えた水が届く、低い森と高い森

河道のそばの低い土地は、増水すると水域の一部になり、減水すれば再び地表が現れます。この洪水パルスのもとでは、川と森を固定した一本の線で分けることはできません。同じ幹の周りが、季節によって水中にも陸上にもなるのです。

通常の河川の氾濫を受けない高い土地の森林は、テラ・フィルメと呼ばれます。ただし、「乾燥した森」という意味ではありません。熱帯の雨は降っていても、季節的に川の水につかるかどうかが異なるのです。山頂ほどの高さがなくても、最高水位より上に地面があれば、隣の浸水林とは違う環境になります。

低い森林へ入り込む増水と、水の届かない森林
同じ河岸の低水位と高水位の比較。増水すると低い森の幹の周りに水が広がるが、少し高い土地の森には届かない。

浸水の有無と地形の関係を示す模式図で、実際の水深や高さの比率は示していません。森の種類は水の性質・土壌・浸水期間でも異なり、この図だけでヴァルゼアとイガポーを区別することはできません。

ヴァルゼアとイガポーを分ける、流れ込む水の性質

浸水林を分けるもう一つの条件は、流れ込む水の性質です。アンデスなどからの土砂を多く含む白水の川沿いには、ヴァルゼアと呼ばれる森林が広がります。そこへ入る洪水は、地面を覆うだけの水ではありません。新しい堆積物や養分を運ぶ働きもあります。

対して、ネグロ川のような黒水系や、透明な水の川で浸水する森林は、イガポーと呼ばれます。一般に白水系より運び込まれる無機の土砂や養分が少なく、土壌や樹木の組成も異なります。研究地域によって用語の使い方に幅はありますが、「ヴァルゼアは時々水没、イガポーは必ず一年中水没」という二分法では捉えられません。

数か月の浸水に合わせて生きる樹木

根元が水につかると、土の中で根が利用できる酸素は少なくなります。木全体が水面下に入る若木では、光の不足も加わります。洪水に適応した森林でも、どんな木でも同じ深さ、同じ期間を耐えられるわけではありません。

発芽後に水が引くのか、まだ長く水中にとどまるのか。種子や若木にとって、この違いは大きな条件です。近年の浸水実験でも、長く水中に置かれた種子の反応は、樹種によって異なりました。地面のわずかな高さの差が浸水期間を変え、育つ木の違いにつながるのです。

果実を食べる魚が、森の種を運ぶ時間

水位が高い季節、樹木の間へ入った魚は、落ちてきた果実を食べます。食べた種子が消化されず、別の場所まで運ばれれば、そこで新しい木が育つ可能性もあるでしょう。果実を食べる魚は、種子を食い尽くす存在とは限らないのです。

2011年の研究は、大型の果実食魚タンバキーの移動を追い、種子が体内にとどまる時間と組み合わせて、遠方へ運ばれる可能性を推定しました。2025年の流域規模の研究でも、果実食魚の種類の豊富さは、氾濫原林の広がりや樹木の多様性、浸水期間と関連していました。魚の生息地を川筋だけで捉えると、水のある季節の森が抜け落ちてしまいます。

緑の樹冠に隠れた、水面を調べる方法

上空から普通の写真を撮っても、葉に隠れた水面は見えにくく、雲も観測を妨げます。そこで利用されてきたのが、電波を送って反射を測るレーダーです。

NASAが紹介するJERS-1の観測では、水面と木の幹などによる強い反射を手掛かりに、森林の下の浸水域が調べられました。緑色の面積だけを測っていては、森が陸上の環境にあるのか、水に覆われているのかを区別できません。季節で入れ替わる水と陸の広がりまで含めて、アマゾンの森林の姿なのです。

参考資料

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