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ポーランドのバルト海沿岸に移動する砂丘がある理由 スウォヴィンスキの湖と海岸の砂

公開日

ポーランド北部のスウォヴィンスキ国立公園には、海と湖の間に大きな砂丘が広がっています。涼しいバルト海沿岸に砂漠が現れたような景色に、驚くかもしれません。しかも砂丘は静止した丘ではなく、風下へ少しずつ位置を変えています。

なぜ、森のある湿潤な地域で砂が動き続けるのでしょうか。その答えには、砂の粒が風で運ばれる仕組みだけでなく、過去に海岸へ蓄積した砂と、それを固定する植生の関係が含まれています。砂丘があることと、その土地が砂漠であることは、同じ意味ではないのです。

砂の山が滑るのではなく、粒が頂上を越える移動

風が十分に強くなると、表面の砂粒が転がったり、短い跳躍を繰り返したりします。跳ねた粒が次の粒をはじく連鎖によって、砂は風上側の比較的緩やかな斜面を登っていくのです。

頂上を越えた砂は、風下側へ落ちてたまります。積もりすぎて斜面が不安定になれば、小さな雪崩のように崩れ落ちるでしょう。風上から材料が失われ、風下に加わることを繰り返し、砂丘全体の形が風下へずれていきます。

砂丘の底に車輪があるように、山全体が同じ形のまま滑っているわけではありません。一粒ずつの移動によって山の位置が変わるのです。移動の速さは風の強さや向き、砂の湿り方、植生などで変わり、毎日一定の距離を進むこともありません。

砂丘の移動は、粒の移動の積み重ね
上段で砂は風上の緩斜面を跳ね上がり、頂上から急な風下斜面を落ちる。下段で風上側が失われ風下側に加わり、砂丘の形が右へずれる。

一方向の風による移動を説明する模式断面で、現地の測量結果や移動速度ではありません。海から砂が絶えず補給されるという意味ではなく、スウォヴィンスキでは古くから蓄積した砂の再移動が重要です。

いまの砂浜から、無制限に補給される砂ではない

海の近くにある移動砂丘なら、海岸から新しい砂が絶えず吹き込んでいると思うかもしれません。ところが、公園の解説は、そのイメージだけでは現地の移動砂丘を説明できないと指摘しています。

浜と内側の砂丘の間には、植生のある海岸寄りの砂丘などがあり、現在の浜から内部へ砂が一直線に運ばれ続けるわけではありません。内側で動いている砂の重要な供給源は、砂州の発達過程ですでに蓄えられた古い砂です。

つまり、砂を長い時間かけて海岸へ集めた段階と、蓄積した砂を風が組み替えている段階を分ける必要があります。材料が海岸起源であることと、今日の浜から毎日補給されていることは別の話なのですね。

草木が止める砂、草木を覆う砂

植物が生えると、地表近くの風が弱まり、根も砂を支えます。動きにくくなった場所には、別の植物が定着しやすくなる。こうした働きは、砂丘を固定する方向へ進みます。

逆に、植生が失われて裸の砂が露出すると、風による移動が再び活発になる場合があります。森林の破壊や火災、強風による変化などは、そのきっかけになり得るでしょう。スウォヴィンスキの砂丘にも、植生が発達した時期と、砂の活動が強まった時期の履歴があります。

動く砂の前縁では、木が砂に埋まることもあります。森があるから砂丘は必ず止まる、砂丘があるから植物は全く育たない、という二択ではありません。風で運ばれる量と、植物が地面を固定する働きの釣り合いによって、両者の境界が変わるのです。

砂丘の背後の湖も、一様な成り立ちではない

大きな砂丘の近くにあるウェブスコ湖は、バルト海の入り江が砂州によって隔てられる過程と結びついた湖です。ただし、完全に閉じた水槽ではありません。ウェバ川を通して海とつながり、条件によっては海側から水が入ることもあります。

外海に面した浜、風が動かす砂丘、その背後の浅い湖。この並びは、一つの海岸が波・風・河川の異なる働きを受けていることを示しています。砂丘だけを切り取ると砂漠に見えても、周囲には水の多い環境が広がっているわけです。

なお、公園内の湖すべてが同じように海を締め切ってできたわけではありません。ガルドノ湖には氷河地形のくぼみも関係します。似た位置に並ぶ湖でも、元の器の成り立ちは異なり、後の海岸変化がそこへ重なっています。

動く砂丘を残すことも、自然を守ること

砂の移動を止めれば、いつでも自然が豊かになるのでしょうか。市街地や道路を砂から守る場所では、固定が重要な目的になります。しかし、移動砂丘そのものを保護する地域では、砂が動く過程にも価値があります。

スウォヴィンスキでは、裸地、植物が定着した砂丘、森林、湖岸の湿地などが近接しています。異なる段階の環境が存在することが、景観と生息場所の多様さにつながります。一面を同じ植生で覆うことだけが、保全の答えではありません。

白く広がる砂の丘は、乾燥した気候の証拠とは限らない。古い砂の蓄積があり、風がそれを運び、植物が場所によって止めたり覆われたりする。そのせめぎ合いが続くことで、バルト海の岸辺に移動する砂丘が残っています。

参考資料

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