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ツィンギの岩はなぜ刃のように尖っているのか 雨水が溶かした石灰岩の地形

公開日

マダガスカル西部のツィンギには、石の刃を密集させたような風景が広がっています。尖った頂部と深い隙間が連なり、同じ岩場でも、上と下でまるで違う環境です。

この鋭さは、地下から針状の岩が噴き出してできたものではありません。もともとあった石灰岩の一部が水に溶け、残った部分が尖りました。岩を失う作用は、必ずしも地形を丸くするとは限らないのです。

海でできた石灰岩が、陸上の岩の森へ

ベマラハのツィンギをつくる石灰岩は、中生代ジュラ紀の海に由来する堆積岩です。炭酸カルシウムを多く含む物質が海でたまり、固まった地層が、後に陸上で雨水の作用を受けるようになりました。

したがって、岩石の年代と尖った地形の年代は分ける必要があります。材料の石灰岩が古いからといって、今の刃の形までジュラ紀から変わらず立っていたわけではありません。海での堆積と、陸上での侵食は、別々の段階なのです。

弱い酸を含む水が、割れ目を広げる仕組み

空気や土壌から二酸化炭素を取り込んだ弱酸性の水は、石灰岩の主成分である炭酸カルシウムと反応し、その成分を運び去ります。熱で岩を液体に変える作用とは異なり、炎や高温を必要としません。

岩盤には最初から節理などの割れ目があります。水がそこへ集まると、通り道が少しずつ広がり、さらに水が通りやすくなります。削られる場所と残る場所の差が拡大するため、平らな面が一様に低くなるとは限りません。

水が集中する場所の溶解が、尖った残り方を生む
上段は割れ目に沿って入る水、下段は溶解が進み深い溝の間に尖った石灰岩が残る模式断面。

代表的な作用を示す模式図です。ベマラハの個々の尖塔の形成順序や寸法を復元した図ではなく、地下水・過去の地表条件も関係します。

深い溝と尖った頂部が、一緒に育つ理由

割れ目に沿う溶解で岩盤が区切られると、その間に狭い尾根や尖塔が残ります。表面にも雨水の筋に沿った細い凹凸が刻まれ、大きな隙間と小さな溝が重なる地形になりました。

川原の石は転がって角が取れる一方、ここでは地面に固定された岩の特定の場所が溶けていきます。石全体が何度も衝突して丸くなる作用とは、条件が違うわけです。「侵食が進めば丸くなる」という印象だけでは、この鋭い地形を説明できません。

地上の刃の下に続く、洞窟と水の経路

石灰岩が溶ける場所は、見えている表面だけではありません。地下へ入った水も割れ目を広げ、洞窟や空洞を発達させます。ベマラハには、地表の尖塔群とともに、峡谷、窪地、洞窟を含むカルスト地形が見られます。

そのため、現在の雨だけで景観のすべては説明できません。過去の土壌の覆いや地下水位、水の経路の変化も重なり、長い地形発達の一部が、今の尖塔として地表に現れています。

土壌のある場所では、微生物や植物の呼吸で生じた二酸化炭素を水が取り込めます。裸の岩面に直接降る雨と、土壌を通った水では、石灰岩との反応の条件も同じではありません。地表の土が失われた後でも、その下で先に進んでいた溶解の形が露出することがあります。

溶けた石灰岩は、どこへ行くのか

深い隙間の容積を見て、同じ量の白い粉が近くに積もっているはずだと思うかもしれません。しかし、化学的に溶けた成分は、目に見える砂粒とは違う形で水に運ばれます。巨大な溝の横に、削りくずの山が必要とは限らないのです。

もちろん、岩塊の崩落や粒の運搬も起こります。重要なのは、物理的に砕いて運ぶ作用と、溶かして運ぶ作用を分けること。同じ「削られた地形」でも、何が水とともに出ていったのかを考えると、石灰岩ならではの深い溝や地下空間が理解できます。

裸の岩と緑の隙間をつくる、高低差

上部の岩は日射や乾燥にさらされる一方、深い隙間には日陰ができます。土や落ち葉がたまる場所もあり、植物が根を張れる条件は一様ではありません。離れた気候帯へ移動しなくても、同じ岩場の中で生育環境が大きく変わります。

鋭い岩の群れと、その間に残る緑は対照的ですが、無関係な取り合わせではありません。水が岩を区切り、その形が光や湿り気の分布を変えました。ツィンギは石灰岩の造形であると同時に、生きもののすみ場所を細かく分ける地形でもあるのです。

参考資料

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