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アッサル湖には海の水が地下から入るのか 海面より低い塩湖と岩の割れ目

公開日

ジブチのアッサル湖は、海の近くにありながら、海面より約150メートルも低い場所にあります。外洋へ続く川は見えません。それでも湖へ入る水の重要な供給源は、近隣の海に由来する地下水です。

海と湖を結ぶのは、一本の大きな地下トンネルではありません。大地が引き伸ばされる地域の断層や岩の割れ目が、水の経路に関わっています。地表では隔てられた二つの水面が、地下の流れを通じてつながっているのです。

海面より低い湖へ向かう、水の圧力

アッサル湖の近くには、タジュラ湾につながるグベットの海があります。海と湖の間には陸地があるため、海水が地表をそのまま流れ込むわけではありません。しかし、地下に水を通す経路があれば、両者の水位差は流れを生む要因になります。

水の動きは単なる地表の傾斜だけでなく、地下の水圧や水の密度にも左右されます。海水と濃い湖水、さらに熱せられた地下水を含む地域では、地形だけから経路や速さをすべて決めることはできません。

大地を裂く断層が、水路にも壁にもなる理由

アッサルは、地殻が引き伸ばされるリフト帯にあります。割れ目の多い火山岩や断層が水の通り道になりうるため、地表に川がないことだけでは、地下の移動まで否定できません。

ただし、断層ならどこでも水をよく通すとは限りません。岩の砕け方、細かい物質による目詰まり、隣り合う地層の性質によっては、流れを妨げる側面もあります。2021年の地球物理探査と数値モデルの研究でも、断層沿いの通り道と、流れを制限する部分の両方が検討されました。

岩盤を通る補給と蒸発が、低い塩湖を保つ
海面より低い湖へ岩盤中の割れ目を通じて水が移動し、湖面から蒸発する模式断面。

破線は地下水経路の概念で、一本の地下トンネルや実測の断層を示しません。地熱による循環や密度差を省略し、標高差を強調しています。

地熱によって変わる、地下水の温度と成分

地下へ入った水の一部は、熱い岩石に接して温まり、密度の変化によって上昇しやすくなります。海から湖へ向かう広域的な流れだけでなく、深い場所と浅い場所を結ぶ循環も考えなければなりません。

水は岩石と接触する間に、成分も変えていきます。湖周辺の温泉や地熱井の水を分析することは、その通り道を推定する手がかりになります。単に「海水と同じ味だからつながっている」と判断しているわけではありません。

海水が入るのに、海より塩辛くなる仕組み

海由来の水が入るなら、塩分も海と同程度になるのでしょうか。アッサル湖では乾燥した気候のもとで蒸発が進む一方、塩は同じ割合で大気へ運ばれないため、残る水に塩類が濃縮されます。

濃度が高まると、溶けきれなくなった成分が結晶として析出し、湖岸の塩の堆積に加わります。湖の色だけでなく、周囲の白い地面も水収支の結果。流入は塩を運び込み、蒸発は水を取り去るという非対称な働きが続いています。

地下の流れを、見えないまま調べる方法

地下水の全経路を、人が歩いて確かめることはできません。調査では、水の成分や温度に加え、地下の電気の通りやすさなどを利用します。塩分の多い水や変質した岩石が地下の電気的性質に関わるため、地表から内部を推定する材料になります。

ただし、電気が通りやすい場所を見つけたことと、そこを通る水量を直接測ったことは別です。探査結果から地下の構造を考え、井戸の温度などの観測と照合し、流れのモデルが矛盾しないかを確かめます。模型の中に水路を描けたからといって、その一本が実在すると断定するわけではありません。

探査の強みは、地表に現れる泉だけでは分からない地下の広がりを捉えられること。そこへ井戸で直接得た温度や成分の情報を重ねれば、モデルの候補を絞れます。地下水の経路を調べる作業は、一種類の測定で見えない川を撮影するのではなく、異なる証拠を組み合わせる作業なのです。

地下でつながっていても、水面がそろわない理由

二つの容器を太い管でつなぐと、水面はすぐそろいます。アッサル湖ではそうならないため、地下の接続は不自然に思えるかもしれません。しかし、岩盤の中の流れには抵抗があり、補給の速さには限界があります。

一方で、湖面からは水が失われ続けています。地下を通る供給と蒸発が釣り合う水位は、必ずしも海面と同じ高さではありません。水を通す割れ目があることと、海と自由に出入りできる開いた水路があることは、別なのです。

アッサル湖の低さ、塩の濃さ、温泉の存在は、互いに独立した珍しさではありません。海と陸の高低差、大地の割れ目、地熱、乾燥が組み合わさった、一つの水の仕組みとして理解できます。

参考資料

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