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トゥルカナ湖はなぜ砂漠の中でも水が残るのか 遠い高原の雨と閉じた流域

公開日

乾燥した土地に囲まれたトゥルカナ湖が、なぜこれほど大きな水面を保てるのでしょうか。ケニア北部を中心に広がるこの湖は、湖岸だけではなく、はるかに広い範囲から水を集めています。

主要な供給源は、北から流れ込むオモ川。エチオピアの高地に降った雨が川へ集まり、乾いた地域へ運ばれています。湖のある場所の気候と、湖を養う流域の気候は、同じである必要がないのです。

水の多くを運ぶ、エチオピア高地からのオモ川

オモ川は湖の北端へ注ぎ、河川流入の大部分を担います。NASAの解説が示す目安はおよそ9割ですが、毎年変わらない固定比率という意味ではありません。

湖岸で雨が少なくても、上流の高地でまとまった雨が降れば、その一部は時間をかけて湖へ届きます。庭の池のように、真上に降る雨だけで水量を考えると、この大きな供給源を見落としてしまいます。

雨の多い上流域と、蒸発の大きい湖をつなぐオモ川
高地に降る雨がオモ川を通じてトゥルカナ湖へ入り、湖面から蒸発する模式図。

流域の関係を示す模式図で、地図や地形の実測断面ではありません。その他の流入・直接降雨・地下水などは省略し、矢印の太さは水量を表していません。

海へ出る川がなくても、水は失われ続ける

現在のトゥルカナ湖は、海へ流れ出す川を持たない閉鎖湖です。水が集まる盆地の末端にあるため、流入した水の主要な出口は蒸発になります。川の出口がないことは、水の出口がないことではありません。

広い湖面からは、乾燥した空気や風などの条件に応じて水が失われます。「砂漠なのに湖がある」のは矛盾ではありません。遠方からの補給が、大きな蒸発を支えている状態なのです。

水位の上下に現れる、流域全体の収支

湖が存在していても、水位は一定ではありません。雨や流入と蒸発の差で上下し、浅い湖岸では小さな水位変化でも水際が大きく動きます。

米国地質調査所などによる2012年の研究では、衛星による降水推定、流出量のモデル、蒸発量、衛星高度計の水位を組み合わせて、水収支が検討されました。湖の変動を理解するには、地上の雨量計だけでなく、広い流域と湖面の両方を調べる必要があります。

河口の三角州は、土砂だけで大きくなるわけではない

オモ川は水とともに土砂も運び、北端に三角州を発達させています。衛星画像で陸地が湖へ張り出したように見えると、川が大量の土を運んだ証拠と考えがちです。

ところが、水位低下で浅い湖底が現れても、陸地は広がって見えます。NASAが紹介するオモ三角州の変化でも水位低下が重要な要因に挙げられており、岸の位置だけから土砂量を推定することはできません。

水位の観測と、水量の推定は同じではない

衛星高度計は、衛星から水面までの距離などをもとに、水面の高さの変化を調べます。しかし、水位が何センチメートル上がったかだけでは、湖に増えた水の量は決まりません。同じ上昇幅でも、広い湖と狭い湖では必要な水量が違うからです。

岸の傾斜が緩ければ、水位の上昇に伴って水面が横にも広がります。増えた水量を求める鍵は、水面の高さと面積の組み合わせ。流域の雨、湖面の高さ、岸の位置を別々の衛星データから調べて重ねることで、変動する湖の収支に迫れるのです。

過去のモデルが特定期間の水位をよく再現していても、今後の降雨や水利用まで確定するものではありません。湖の仕組みを表すモデルと、将来の条件の想定を分けて使うことで、どの変化が湖へどれほど響くかを比較できます。

上流の変化が、国境を越えて湖へ届く仕組み

湖へ来るまでの川で取水が増えたり、貯水池へ水をためたりすれば、湖への流入量や時期は変わりえます。ただし、発電用ダムが水をためることと、灌漑などで水が消費されることは同じではありません。ためた後に下流へ放流する水と、蒸発散などで戻らない水を区別する必要があります。

雨の年変動もあるため、ある時期の水位変化を一つの施設だけに結びつけることはできません。上流の降水、貯留、利用、湖面の蒸発を合わせて初めて、増減の理由を評価できます。

トゥルカナ湖を支える水は、湖岸の乾いた風景の外から来ています。その広がりを流域として捉えると、遠い高地の雨と目の前の湖面が、一続きの現象であることが分かります。

参考資料

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