イエローストーンの間欠泉は、熱い水を絶えず流す温泉とは違い、静かな時間を挟んで噴き上がります。地下の熱が一定でも、地表へ出る水が連続するとは限らない。その理由は、地下にある水の通り道と、水圧によって変わる沸騰の条件にあります。
間欠泉は、小さな火山が一定間隔で噴火しているものではありません。噴き出す主役は地下水と水蒸気です。熱源、水の補給、噴出に適した地下の構造がそろって初めて、ためては放出する動きが成立します。
熱源だけでは生まれない、間欠泉の地下構造
イエローストーンでは、地下のマグマから伝わる熱が岩石や水を温めています。しかし、熱い地下水がある場所すべてが間欠泉になるわけではありません。水が自由に循環して地表へ出られれば、温泉として熱を逃がすことも可能です。
間欠泉で重要なのは、熱い水の移動を制限する細い通路や狭窄部です。熱水に溶けていたシリカが沈殿し、通路の壁を覆うこともあります。熱源が同じでも、地下の配管に相当する形が違えば、熱や圧力のたまり方まで同じにはなりません。
深い場所ほど高温まで沸騰しにくい水
水はいつでも100度で沸騰するわけではありません。沸騰する温度は圧力によって変わり、圧力が高いほど上がります。地下の水には上にある水の重さがかかるため、地表なら沸騰するような温度でも、液体のまま存在できるのです。
逆に、高地の地表では気圧が低いため、沸点は海面付近より下がります。イエローストーンの間欠泉を考える際も、「地下で100度になった瞬間に噴く」という説明では不十分。水の温度と、その場所にかかる圧力を組み合わせる必要があります。
地下水路は概念形です。特定の間欠泉の空洞を再現した図ではなく、噴出後には水と熱の補給による待ち時間があります。
少しの水の流出が、噴出を大きくする連鎖
地下で水が熱せられ、気泡の発生や膨張によって一部の水が地表へ押し出されると、残った水にかかる圧力が下がります。すると、それまで液体でいられた高温の水が、急に水蒸気へ変わりやすくなります。
水蒸気は液体の水よりはるかに大きな体積を占めるため、さらに水を押し出します。水が出る、圧力が下がる、蒸気が増える。この連鎖が、細い出口から勢いよく水を噴き上げる動きにつながるわけです。地下の空洞が単に満杯になってあふれるだけの現象ではありません。
噴き終わったあとに必要な、補給と加熱の時間
噴出によって水と熱が失われると、大きな噴き上がりはいったん収まります。地下に水が補給され、再び十分に温められるまで、次の噴出を待つ時間が生まれます。ただし、地下の構造は間欠泉ごとに違い、すべてが同じ順序や規則正しさで動くわけではありません。
水が満たされる速さだけでなく、残った熱、通路の形、周囲との水のやり取りも関係します。間欠泉の周期は、地球の内部に時計がある証拠ではなく、水と熱が蓄積して放出される仕組みから生まれるものです。
オールド・フェイスフルも、秒刻みの時計ではない
有名なオールド・フェイスフルでは、直前の噴出の長さなどをもとに、次の噴出時刻を予測します。米国国立公園局は、比較的長い噴出のあとには、次までの待ち時間も長くなる傾向を説明しています。それでも、毎回まったく同じ時刻に噴くわけではありません。
予測しやすい間欠泉でも、周期が永久に変わらないとは限りません。また、すべての間欠泉をオールド・フェイスフルと同じ精度で予測できるわけでもありません。地下水路の違いを反映した振る舞いを、継続的な観測によって把握しているのです。