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ロサンゼルス川はなぜコンクリートの水路になったのか 変わった流路と都市の拡大

公開日

ロサンゼルス川の写真を見ると、川というより、中央に細い水が流れる巨大なコンクリートの溝に見える区間があります。水が少ない日の姿だけなら、これほど広い水路は過剰に感じられるかもしれません。しかし、その大きさは普段の流れではなく、大雨のときの水を通すためのものです。

この川は、初めからコンクリートの姿で存在したわけではありません。洪水を繰り返す川の周辺に都市が広がり、水を決められた経路で速く海へ送る仕組みが整備されました。その選択は洪水対策を進める一方で、川と周囲の土地の関係を大きく変えました。

乾いた日常と、大雨の流れの大きな落差

ロサンゼルスでは、長い乾燥期と、雨が集中する時期の差があります。流域には山地があり、大雨の際には支流などを通って水が集まります。普段の細い流れを基準に、川が運ぶ水の最大規模を判断することはできません。

さらに、道路や建物で地面が覆われると、雨水が土へ浸透しにくくなり、排水設備を通じて川へ届きます。都市の拡大は、守るべき建物の数だけを増やしたのではありません。水の集まり方も変え、洪水の条件そのものに影響してきたのです。

1938年の洪水と、流路を固定する工事

ロサンゼルス川流域では、20世紀前半に大きな洪水が起きました。1930年代には連邦政府を含む治水事業が進められ、1938年の深刻な洪水を経て、コンクリート水路による整備が広がりました。主要な工事はその後も長く続きます。

狙いは、水が周囲の市街地へ広がるのを抑え、限られた通路で下流へ送ることです。川が氾濫原へ広がる余地を確保する方法とは異なり、都市の中に断面の決まった流路を設ける選択でした。

氾濫原へ広がる川から、断面を固定した流路へ
上段は周囲へ水が広がる川の断面、下段は市街地の間のコンクリート水路と、その底の平常時の小さな流路。

過去の河床や現在の設計断面の実測図ではありません。青い広い水面は増水の概念で、治水施設が全ての洪水を防ぐという意味ではありません。

滑らかな水路が変えた、水と岸辺の関係

コンクリートで整えた流路は、形を固定し、草木や凹凸の多い場所に比べて流れの抵抗を小さくできます。一方で、水が地面へ浸透したり、岸辺の植生や浅瀬と接したりする機会は限られます。水を運ぶ性能と、生きもののすみ場所は同じ尺度では測れません。

また、速く流せる水路があることは、あらゆる規模の洪水を防げるという意味でもありません。川へ入る水の量や、水路が保てる通水能力には関係があります。治水施設の存在を理由に、洪水の可能性がなくなったと考えるのは誤りです。

全部がコンクリートではない、グレンデール・ナローズ

川の全区間が同じ構造というわけではありません。グレンデール・ナローズでは地下水位が高く、河床にはコンクリートで覆われていない区間があります。側面を人工的に整えた水路の中に、土砂や植物のある川底が残っています。

この場所は植生や生息環境を支える一方、水を通す能力と植物・土砂の管理を両立させる課題も持ちます。「自然の川か、人工水路か」の二択ではなく、一つの川の中に異なる構造と役割が混在しているのです。

普段流れる水の一部は、都市から来る水

雨のない日の流れにも、都市とのつながりがあります。地域の計画資料では、処理施設からの放流水、都市域からの流出、地下水の湧出などが、乾燥時の流れを構成すると説明されています。上流の雪解け水だけが流れている川ではありません。

現在の川を改善するには、緑を増やすことだけでなく、洪水時の通水、平常時の水源、水質、周辺の利用を合わせて考える必要があります。コンクリートを外せば過去の川がそのまま戻る、というほど単純ではないところに、大都市の川の難しさがあります。

参考資料

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