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朝鮮半島の西海岸と東海岸はなぜ形が違うのか 干潟・山地・海の深さ

公開日

朝鮮半島の地図を見ると、西側には湾や島が多く、東側には比較的まっすぐな海岸が続きます。衛星写真でも、西には広い干潟、東には山に近い細長い海岸が目立ちます。同じ半島の両側で、なぜ形が違うのでしょうか。

背景には、東寄りに高い山地がある陸の起伏と、西に浅い黄海、東に深い日本海がある海底の違いがあります。そこへ海面の変化、潮の満ち引き、波、川が運ぶ土砂が重なり、対照的な海岸ができました。

海岸線は、陸の形と海面の交わる場所

海岸線は、地図に独立して引かれた線ではありません。起伏のある陸地と、その時点の海面が交わる位置です。海面が上がると、低い谷へ水が入り込み、丘の頂部が島として残る場合があります。

なだらかな低地や谷の多い場所では、海面が上がると海が横へ大きく広がります。一方、急な斜面では、同じ高さまで上がっても海岸線は遠くまで移りません。陸の傾きも、湾や島の配置を変える要素です。

氷期の終わりに海面が上昇した過程も、現在の海岸を形づくっています。西・南岸の入り組んだ海岸には、海が低い土地へ入り込んだ来歴があり、東岸では急な地形と波の作用が違う形で現れています。

西の浅い黄海と、東の深い日本海

西側の黄海には広い浅海域があり、岸から沖へ向かう勾配は比較的緩やかです。対して東側は、海に迫る山地と沖合の深い海盆。東西の地形の違いは、海岸線で終わらず海底まで続いています。

浅い海には陸から砂や泥が届き、湾や島に囲まれて波が弱まる場所では細かな粒がたまりやすくなります。西・南岸の干潟を支えるのは、潮の干満だけではありません。土砂が供給され、それをとどめる海岸の形も必要なのです。

東側にも砂浜や小さな平野はありますが、西側と同じ幅の広い干潟が一様に続くわけではありません。山地と海底の急な勾配は、水が浅い範囲の広さや、土砂が残る場所に影響します。

同じ潮位差でも、海岸の傾きで変わる露出幅
緩い斜面と急な斜面に同じ高さの満潮線と干潮線を引いた比較断面。緩い斜面では広い範囲が潮の上下で現れる。

斜面の効果を比べるため、図の潮位差は同じにしています。実際の朝鮮半島では西側の方が潮の干満の差も大きく、島や入り江の分布にも違いがあります。

潮位差と傾斜が、干潟の広さを決める

潮が引いたときに現れ、満ちると水中に戻る土地が干潟です。広い干潟ができるには、細かな土砂の供給だけでなく、満潮と干潮の水位差、海底の傾き、波や潮流の強さなどが関係します。

同じ高さだけ水位が下がる場合でも、急斜面なら海岸線は少ししか動きません。ごく緩やかな斜面なら、広い範囲が水面から現れます。西岸では大きな潮位差と緩い傾斜が組み合わさり、広い潮間帯を生みます。

潮の満ち引きは主に月や太陽の引力に由来しますが、実際の潮位差は海域の形、水深、波の伝わり方によって変わります。同じ月の影響を受ける半島でも、両側で同じ潮位差になるわけではありません。

東海岸の砂浜と、海から切り離された湖

東海岸では、川から届いた砂などが波や沿岸の流れによって移動し、砂浜や砂州をつくります。まっすぐに見える海岸も、岩盤を波が一方的に削り続けた結果だけではなく、砂がたまって凹凸を埋める作用を含んでいます。

湾の入口などに砂州が伸びると、内側の水域が外海から隔てられ、潟湖ができる場合があります。東岸の海岸地形を考えるときには、山と深い海だけでなく、その間に土砂がつくる細い帯にも注目できます。

一方、波で削られた面が、その後の隆起などで海面より高い場所に残ると、海岸段丘になります。現在の波打ち際より上に平坦な面があることは、陸と海の高さの関係が過去に変わった手がかりです。

湾が多い海岸と、港をつくりやすい海岸の違い

入り江があると波を避けやすくなりますが、湾が多いことだけで大型船に適した港になるわけではありません。海底が浅い、泥がたまる、潮位差が大きいなどの条件は、航路や港の整備に別の課題を生みます。

逆に、沖が深い海岸でも、波を遮る場所が少なければ防波堤などが必要です。海岸の凹凸と、港として利用できる条件は、一部は関係していても同じではありません。

西岸の干潟には多くの生物がすみ、渡り鳥の採食地にもなっています。埋め立てによって地図上の海岸線を単純にすれば、水の動きや土砂の堆積、生息地の広がりも変わります。海岸線の形は、地形だけでなく人の利用によっても更新されてきました。

東西の対比の中にある、地域ごとの例外

「西は入り組み、東は単純」というのは、半島を広く比べたときの傾向です。西岸にも外海へ開けた砂浜があり、東岸にも湾や平地があります。南岸は多島海や複雑な湾が発達し、東西の二分法だけでは扱いきれません。

湾の数や海岸線の長さは、異なる縮尺の地図で単純に比較できません。広い範囲を載せた地図では滑らかな線でも、細かく調べれば小さな入江や岩礁が現れるため、同じ細かさの資料を使うことが大切です。

朝鮮半島の海岸の違いは、波だけがつくったものではありません。陸の高さ、海底の深さ、変わり続けた海面、潮と土砂。地図の一本の線には、水面の上と下にある地形の両方が反映されています。

参考資料

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