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スリランカではなぜ島の中で雨季が違うのか 二つの季節風と中央高地

公開日

南西の海岸で雨が続いても、北東側では比較的雨が少ない。スリランカの雨季は、島全体で一斉に始まるわけではありません。風の向きと中央高地の位置によって雨の降り方が分かれ、季節が進むと多雨になる地域も変わります。

中心となるのは南西モンスーンと北東モンスーン、そして島の中南部にそびえる中央高地です。ただし一年を二つに分けるだけでは足りません。風が切り替わる合間にも雨の多い季節があり、スリランカの降水は通常、四つの季節に分けて説明されます。

南西からの風を受ける海岸と中央高地

おおむね5月から9月の南西モンスーン期には、インド洋から湿った空気が入り、南西側の海岸や中央高地の風上斜面に雨をもたらします。山に沿って上昇した空気が冷え、雲を発達させるためです。

スリランカの中央高地には標高2,000メートルを超える山々があり、島の幅に対する高低差は大きなものです。海岸で暖かかった空気も、その斜面に持ち上げられる間に温度が下がります。

山を越えた側では、下降する空気が暖まって相対湿度が下がるため、南西側ほど雨が増えない地域もあります。季節風が同じでも、島内の空が同じになるとは限りません。反対側へ移動するだけで、違う季節に入ったように感じる理由です。

風向と中央高地が変える雨の降り方
南西からの風では南西側、北東からの風では北東側が風上になる島の概念断面。中央高地が雨の分布に影響する。

代表的な風向を示した模式図です。島全体の降雨分布を二分するものではなく、季節風の切り替わりの時期にも雷雨などがあります。

北東モンスーンで変わる、湿った空気の入口

おおむね12月から2月にかけては、北東寄りの風の影響が強くなります。この風はベンガル湾などの海上を通り、スリランカの北部や東部へ水蒸気を運びます。大陸から吹く風だから必ず乾いている、というわけではありません。

南西からの風では風下だった斜面も、北東から来れば風上になります。変わるのは山の位置ではなく、空気の通る向き。中央高地は同じ場所にあっても、雨を受けやすい側が入れ替わるのです。

一方、南西側では夏のモンスーン期より雨の少ない時期になりやすくなります。ただし、北東モンスーンは南西モンスーンをそのまま裏返した完全な対称形ではありません。空気の通る海域や低気圧の活動が異なるため、降水量も地域の広がりも違います。

3〜4月の雷雨と、10〜11月の広い雨

二つのモンスーンの間には、3〜4月と10〜11月の移行期があります。前者は第一インターモンスーン、後者は第二インターモンスーンと呼ばれます。季節風が弱まる期間だからといって、雨も休むわけではありません。

日中に暖められた地面から空気が上昇すると、午後から夕方にかけて雷雨が発達しやすくなります。また、熱帯の雨の多い帯が季節とともに南北へ移動することも、島の降水にかかわります。

10〜11月には、周辺の低気圧や擾乱によって、島の広い範囲で強い雨が降る場合があります。この時期を「西の乾季、東の雨季」という二分だけで理解しようとすると、広域の雨を説明できません。スリランカの年間降水には、二つの移行期も大きな役割を持っています。

湿潤帯と乾燥帯は、雨の有無ではなく年の配分

スリランカでは、南西側を中心とする湿潤帯と、北部・東部などに広がる乾燥帯という地域区分が使われます。乾燥帯といっても、砂漠のように一年中雨がほとんど降らないという意味ではありません。

重要なのは、雨の総量と、それが一年のどこへ集中するかです。まとまった雨を受ける季節が限られ、その後に長い少雨期が続けば、水を蓄えて使う必要が大きくなります。

南西側は風上斜面の雨が多く、雨の少ない期間も比較的短いのに対し、北東側では季節による差が大きくなります。同じ熱帯の島でも、水を一年のうちにどのような配分で受け取るかが違うわけです。

山の高さは、雨だけでなく気温も変える

低地では一年を通じて暖かくても、高地では気温が低くなります。海岸と山の街の違いを、季節だけで説明することはできません。標高による気温差が、島の中に別の生活環境をつくっています。

さらに、同じ高度でも風上と風下では雲の量や湿り方が同じとは限りません。雲が日射を遮る時間も変わるため、斜面の向きは土壌や植生の条件にも影響します。標高だけでは表せない、細かな環境差です。

島を一つの平均気温と平均雨量で表せば、こうした差は消えてしまいます。スリランカの地理では、南西と北東という水平の違いに加え、海岸から高地への垂直の違いも大切です。

季節の目安と、その年の雨の違い

四つの季節は、長期的な降水の特徴を整理したものです。毎年同じ日に風が切り替わり、同じ日に雨が始まるという予定ではありません。海面水温や大気の変動によって、雨の強さや続き方は変わります。

たとえば、熱帯を東へ進む大気の変動であるマッデン・ジュリアン振動は、スリランカ周辺の雨雲の活発さにも影響します。同じモンスーン期の中に雨の多い週と少ない週があるのは、季節平均より短い時間の変動が重なっているためです。

スリランカの雨季が場所によって違う理由は、島の上を雨の帯が単純に半周するからではありません。季節で変わる風が、海から水分を運び、中央高地の別々の斜面に当たります。その合間には雷雨や低気圧の雨も加わる。小さな島の多様な雨は、この立体的な組み合わせから生まれています。

参考資料

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