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ジャイアンツ・コーズウェーの岩はなぜ六角形なのか 冷える溶岩がつくる柱

公開日

北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェーには、角のある石柱がびっしり並んでいます。上から見ると敷石、横から見ると束になった柱。人が加工したような規則性は、溶岩が冷えて縮むときに生まれました。

しかも、六角形の石を一つずつ積んだわけではありません。もとはつながっていた厚い溶岩の中へ割れ目が入り、その割れ目が奥へ進んだ結果、柱状の部分が区切られたのです。

熱い岩が縮もうとして生じる割れ目

溶岩が冷えると、固まった岩は収縮しようとします。しかし周囲とつながっているため、自由に小さくなることはできません。その内部に引っ張る力がたまり、岩の強さを超えると亀裂が入ります。

これは水が凍って膨張し、岩を割る作用とは逆です。ジャイアンツ・コーズウェーの柱を区切った主な仕組みは、冷却に伴う収縮。地表で後から風雨に削られて六角形になったわけではありません。

六角形が多くても、すべて同じ形ではない理由

割れ目は、力を解放しながら周囲の割れ目と影響し合って広がります。その過程で、平面を多角形に分ける模様が生まれ、六角形に近い形が多く現れます。

研究では、三本の亀裂が出会う点の角度が注目されてきました。亀裂の網が岩の奥へ進む過程で接合点が調整され、角度はそれぞれ120度に近づく傾向があります。これは、正六角形を並べたときに三方向が交わる角度と同じです。

とはいえ、最初から六角形を設計して割れるわけではありません。亀裂が成長し、相互の位置関係が変わる過程で、六角形の多い模様へ近づくのです。

ただし自然の冷却は完全に均一ではなく、柱の断面には五角形なども混じります。「六角形が最も強いので、岩がその形を選んだ」という目的を持たせた説明より、割れ目の成長が互いに調整されていく現象と捉えるほうが適切でしょう。

多角形の割れ目が奥へ続くと柱になる
上は三本の亀裂が120度で交わる配置を正六角形に単純化した図。下は上面から冷却が進み、割れ目が内部へ伸びて柱状の区切りをつくる断面。

上段は理想化した配置で、実物には五角形なども混じります。下段は上から冷える場合です。実際には下面や亀裂中の水による冷却も柱の形に影響します。

多角形は玄武岩の一個の結晶の形ではありません。柱の内部には細かな鉱物が含まれており、巨大な柱を区切る模様は、岩石全体にできた亀裂の配置です。

冷える面から奥へ伸びる柱状節理

多角形の割れ目が冷却の進む方向へ伸び、立体では柱を区切る割れ方が「柱状節理」です。節理は岩の割れ目を表す言葉で、割れ目を境に岩盤が大きくずれた断層とは区別されます。

上面から下へ冷却が進めば、おおむね縦方向の柱ができやすくなります。しかし冷える面が曲がっていたり、水が亀裂へ入ったりすれば、柱の向きやそろい方も変わります。

このため、柱が縦に並ぶことを、重力で真っすぐ立った証拠と考えるのは適切ではありません。大切なのは冷却面に対する向きです。溶岩の形や冷やされ方が複雑なら、柱も曲がったり扇のように広がったりします。

柱の太さと冷却条件の関係は、でんぷんを乾燥させて収縮させる実験などでも研究されています。岩の温度を下げることと、水分を失わせることは別の過程ですが、縮もうとする物質の亀裂が模様をつくる点に共通性があります。

北大西洋が開き始めたころの火山活動

この玄武岩は、およそ6,000万年前の大規模な火山活動に関係しています。現在の北大西洋周辺では、大陸の分裂に伴って溶岩が広く流れ出し、北アイルランドやスコットランドなどにその記録が残りました。

英国地質調査所は、溶岩の噴出と長い休止を挟む地層の重なりを紹介しています。休止期には表面の風化が進み、その後に新たな溶岩が古い谷などを埋めました。今ある石柱だけでなく、周囲の崖の層も火山活動の順序を示す証拠です。

新しい年代測定が変える噴火の時間幅

2026年に英国地質調査所が公表した研究紹介では、北アイルランド周辺の対象となる火成活動の期間が、従来の推定より短い約550万年間にまとめられました。これは地域の地質史の時間幅についての結果です。

一つの溶岩が固まるのに550万年かかった、あるいは柱がその期間ずっと成長した、という意味ではありません。個々の岩の冷却時間と、地域で火成活動が続いた期間は、全く違う尺度です。

規則的な形からは収縮の物理が、地層の重なりからは噴火の順序が、年代測定からは広い地域の火山活動の時間が分かります。海岸の石柱は、形の面白さだけでなく、大陸と海の配置が変わった時代の記録でもあります。

参考資料

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