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カリフォルニア湾はどうやってできたのか 大陸から離れつつある半島

公開日

メキシコ西部には、細長いバハ・カリフォルニア半島が、本土に沿うように延びています。その間を満たすカリフォルニア湾は、川が深い谷を掘り、そこへ海水が入っただけの湾ではありません。

大陸の一部が引き伸ばされ、ずれ動き、その間に新しい地殻までつくられることで、この海は発達してきました。海岸線の形だけでなく、海底の岩がどこで生まれているかを見ると、半島と本土が離れてきた仕組みが分かります。

同じ国の中を通る、プレートの境界

国境とプレート境界は、一致するものではありません。メキシコ本土の大部分が北米プレートにある一方、バハ・カリフォルニア半島は主に太平洋プレートとともに動いています。両者の相対運動を受け持つ境界が、湾の中を通っているのです。

ここで重要なのは、半島が本土から真西へ一直線に離れるわけではないこと。太平洋プレート側は、北米プレートに対しておおむね北西方向へ動きます。向かい合う岸の間隔が広がる成分に、岸に沿ってずれる成分も加わるため、単純な左右対称の裂け目にはなりません。

沈み込みの縁から、引き離される縁へ

この地域のプレート境界は、最初から現在の仕組みだったわけではありません。かつてメキシコ西岸では、海洋プレートが大陸の下へ沈み込み、その上で火山活動が起きていました。その後、海洋プレートと海嶺の配置が変化し、横ずれや伸張の運動が重要になっていきます。

火山岩を調べた研究では、千数百万年前ごろからの大陸の伸張と、後に発達した海洋性の拡大を区別しています。「湾ができた年」を一つに決めにくいのは、陸が割れ始めた時期、海が入った時期、新しい海底が生まれ始めた時期が同じではないためです。

過去の火山岩には、沈み込みが盛んだった頃の成分の特徴も残っています。現在の地図に海があるからといって、その下の岩石がすべて同じ仕組み、同じ時代につくられたわけではありません。

短い拡大軸と、長い横ずれ断層

海底のプレート境界は、どこでも同じように開く一本の割れ目ではありません。短い拡大軸では両側が離れ、地下から来たマグマが固まって新しい地殻を加えます。その区間同士をつなぐのが、隣り合う側のずれを受け持つ横ずれ断層です。

つまり、湾の全長にわたり、一本の大きな溝から同じように溶岩が湧き出しているのではありません。地殻を増やす場所と、横ずれを受け持つ場所をつないだ境界だからこそ、全体として斜めの引き離しが可能になります。

湾底の境界は、一本のまっすぐな割れ目ではない
上段は短い拡大軸を横ずれ断層がつなぐ階段状の模式平面図。赤い拡大軸の左右は離れ、青い横ずれ断層では両側が逆方向へずれる。下段は拡大軸に上がったマグマから新しい岩石ができる断面。

実際の方位や海岸線を再現した地図ではなく、相対運動の方向に合わせて単純化した構造図です。軸の数・長さ・ずれ量は任意。下段は堆積物やマグマの複雑な貫入を省略し、湾北部に大陸地殻が残る場所もあることには注意が必要です。

この配置は、南側の東太平洋海膨から、北側のサンアンドレアス断層系へと続く大きなプレート境界の一部です。湾だけを切り離して眺めるよりも、海底の拡大と陸上の横ずれが隣り合う場所と考えるほうが、その成り立ちを説明しやすいでしょう。

海の底を広げる、新しい岩の供給

岩盤が左右へ引かれても、間に何も補われなければ、長く続く海底の構造はつくれません。地下で生じたマグマが上がり、冷えて固まることで、離れた分を新しい地殻が埋めていきます。水が先に岩を押しのけたのではなく、固体の地球が変形する場所へ海が広がってきたのです。

ただし、海底拡大という名前から、必ず海底に高い山脈が見えると考える必要はありません。カリフォルニア湾には、引き伸ばされて沈んだ盆地が連なり、周囲の陸から運ばれた土砂も積もっています。地下の活動は、海底の表面形だけでは分かり切りません。

グアイマス海盆で、泥の中へ入り込むマグマ

湾の中央部にあるグアイマス海盆では、陸からの土砂や海中の生物に由来する堆積物が、新しい地殻のできる場所を厚く覆っています。そこで上昇するマグマは、必ずしも海底へ噴き出すとは限りません。堆積物の中へ入り込み、その内部で固まるものもあります。

ウッズホール海洋研究所の調査では、拡大軸から離れた堆積物にもマグマが貫入した証拠を探し、熱や化学物質を利用する海底の生物群集を確認しました。岩の動きが、水の化学環境を変え、さらに生物の分布として現れるというつながりです。

海底で生物が集まる場所は、地質とは無関係な飾りではありません。調査船や海底観測機器がとらえる温度、化学物質、音波の反射などを組み合わせることで、泥に隠れた地殻形成の姿に近づけます。

湾の北でも続く、大陸の引き伸ばし

海が途切れたところで、プレートの運動まで終わるわけではありません。北側のインペリアル谷やソルトン・トラフへも、地殻が引き離される帯が続いています。そこでは河川の堆積物も加わり、海底拡大の典型図より複雑な地殻が形成されます。

2016年の地震波探査の研究では、ソルトン・トラフ中央部の地殻に、マグマの貫入、堆積、熱による岩の変成が関わっていると解釈されました。海か陸かという現在の区分だけでは、地下で進む大陸の分裂を分類できないのです。

カリフォルニア湾は、大陸から切り離された細長い半島の脇にある海であると同時に、今も新しい岩が生まれる場所です。遠い将来の海岸線を一本の線で予言することはできませんが、湾の地下では、地図の輪郭を変えてきた運動が続いています。

参考資料

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