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エンジェルフォールはなぜこれほど高いのか 台地の縁から落ちる川

公開日

エンジェルフォールの写真では、川の続きが見えないほど高い崖から、細い白い水の帯が落ちています。ベネズエラのカナイマ国立公園にあるこの滝は、全体で約1,000メートルという並外れた落差で知られています。しかし、滝が高い理由は、水の量が特別に多いからではありません。

舞台となるのは、急な崖で囲まれた台地状の山、アウヤンテプイです。広い頂上側に集まった水が、その縁から深い谷へ落ちる。水を集める面と、水を落とす崖が隣り合っていることが、この景観を生んでいます。

高い山の頂上ではなく、台地の縁にある滝

標高の高い山に、必ず大きな滝ができるとは限りません。水が山腹の斜面や谷を少しずつ下れば、高度を失っても一度の落差は小さいままです。滝の高さを決めるのは、海面からの標高そのものではなく、流れが通る場所にどれほど急な段差があるかです。

アウヤンテプイでは、上部の高い面と谷底との間に大きな崖があります。エンジェルフォールはこの段差を利用した流れであり、山の最高地点から落ちているわけではありません。「高い山だから高い滝」より、「高い面の端に深い谷が接している」と考えたほうが正確です。

台地を流れた水が高い崖を下る仕組み
台地上に降った雨の一部が川となり、崖を下って谷へ進む模式断面。赤い括弧は上端から谷側への高低差を示す。

エンジェルフォールの集水と落差の意味を説明する模式図です。実際の台地・流路・滝の段差・高さの比率を再現していません。水滴への分裂や地下への浸透を省略し、台地全体の雨が一つの滝へ集まるという意味ではありません。

雨を集める広い面と、そこから始まる川

白い水が崖の途中から現れるように見えても、空中で新しく水が生まれるわけではありません。山の上や周囲に降った雨は、地形に沿って集まり、流路へ入ります。テプイ上の窪地や割れ目、地下の通り道も、水の移動に関わっています。

JAXAの衛星画像解説は、この一帯の多雨と、台地の縁から落ちる数々の滝を紹介しています。ただし、台地の上に降った雨がすべてエンジェルフォール一か所へ集まるのではありません。頂上面にも傾きや起伏があり、水はそれぞれの流域へ分かれます。

長い侵食が残した、急な岩壁

テプイを構成するのは、主に古い砂岩などの厚い岩盤です。広い岩盤が削られ、谷が広がる中で、比較的強い部分が高い台地として残りました。その縁には、周囲の低地と頂上を隔てる急な岩壁ができます。

この崖は、現在の滝だけが最初から最後まで掘り下げた一本の穴ではありません。岩の性質、割れ目、風化、崩落、周囲の侵食がつくった地形の中を、水が流れているのです。水路がさらに岩を削る一方、崖の形が水の落ち方を決めるという、相互の関係があります。

落差、流量、幅という三つの異なる大きさ

滝の「大きさ」には、いくつもの測り方があります。上下の高さが落差、一定時間に通過する水の量が流量、横方向に水が広がる距離が幅です。一つが最大だからといって、残りも最大にはなりません。

エンジェルフォールの際立った特徴は落差です。公園当局は979メートルと案内していますが、これを全区間が一本の直線として空中落下する高さと捉えるのは適切ではありません。JAXAの説明では、約1,000メートルの全体の落差と、約800メートルの途切れない落下区間が区別されています。高さの違う説明があるとき、測っている区間自体が違うこともあるのです。

白くほどける水の帯と、目に見えない水蒸気

長い距離を落ちる水は、途中で細かな滴へ分かれ、風で横へ運ばれます。水の少ない時期には、下へ行くほど白い帯が薄くなり、霧のように見えることがあります。遠目には、地面へ届く前に消えたようにも見えるでしょう。

ここで、しぶきになることと蒸発することは別の変化です。白く見える霧やしぶきは、液体の小さな水滴。一方、水蒸気は通常、目に見えません。落下中に一部が蒸発することはあっても、「白い霧になったから、すべて気体になった」とは判断できないのです。

孤立した滝から、オリノコ川へ続く水の道

写真では空中の水の帯だけが注目されますが、滝の周囲の水は、チュルン川、カラオ川、カロニ川の水系を通じて、オリノコ川へつながっています。大きな崖の下で、水循環が終わるわけではありません。

NASAの宇宙飛行士写真では、アウヤンテプイの大きな輪郭と、その周囲を流れる川を一緒に捉えています。崖に近づけば一つの滝に見え、上空から見れば広い流域の一部になる。エンジェルフォールの高さは、台地と谷の落差がつくったものですが、その水を支えているのは、雨から大河へ続くもっと広い地形なのです。

参考資料

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