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レンソイスの砂丘にはなぜ湖ができるのか 海岸の砂と季節の雨

公開日

白い砂の丘の間に、青や緑の水面が点々と並ぶ。ブラジル北東部のレンソイス・マラニャンセスは、砂漠の中へ湖を置いたような景観で知られています。ところが、ここは雨のほとんど降らない砂漠ではありません。

海岸から運ばれる砂がつくった砂丘地帯に、季節的な雨が降り、地下水面が上がる。その結果、砂丘の間の低い場所に水が現れます。見えている湖面は、地表と地下水が出会う境界でもあるのです。

砂が多いことと、雨が少ないことの違い

砂丘は、風が砂を集めてつくる地形です。一方、砂漠は主に乾燥した気候によって区分される地域で、岩石や礫に覆われた砂漠もあります。砂の丘が広がっているからといって、それだけで砂漠とは決まりません。

レンソイスでは、雨の多い季節になると砂丘のくぼみに水がたまります。乾燥が一年中支配する場所ではありません。白い砂の写真からは想像しにくいでしょうが、湿る時期と乾く時期が交代することで、この景観は成り立っているのです。

海岸の砂を内陸へ運ぶ風

砂丘の材料は、沿岸に供給された砂です。乾いた砂粒は、強い風を受けると、跳ねたり転がったりして地表を移動します。空高く舞い上がる細かなほこりだけが、風に運ばれるわけではありません。こうして動いた砂が風下へ積もり、丘の列へと育ちます。

この運搬は、砂の湿り具合にも左右されます。海辺で、乾いた砂は舞うのに、濡れた砂はまとまりやすい場面を思い浮かべると分かりやすいでしょう。ブラジルの自然保護機関ICMBioの管理資料は、乾季に砂の含水量が減り、風も強まることで、海岸から砂丘へ砂が動きやすくなると説明しています。

砂丘は固まった山ではありません。風上側の砂が頂部へ運ばれ、風下側に落ちることを繰り返すと、丘全体の位置も変わります。水のある窪地だけを追うのでなく、その両側の丘も動くところに、この景観の特徴があります。

水を通す砂の上にも、湖ができる理由

砂に水をかければ、下へしみ込みます。それなのに、なぜ水面が残るのでしょうか。ここで区別したいのは、乾いた砂へ水を注ぐ場合と、地下の隙間がすでに水で満たされている場合です。

雨の一部は砂に浸透し、地下水を補います。雨季に地下水面が上がり、砂丘間の低い地表より高くなると、その部分に水が現れます。砂粒の隙間を水が通れることと、その土地から水が際限なく抜け続けることは、同じではありません。

地下に巨大な空洞があり、その水が噴き出すという意味でもありません。水は砂粒の間にも存在していて、地表より上に出た部分が湖面として見えています。窪地を防水の器と考えなくても、水がたまる理由を説明できるのです。

水を通す砂でも、地下水面が高ければ湖になる
同じ砂丘断面を雨季と乾季で比較。雨季には地下水面が窪地の地面より高くなり水面が現れ、乾季には地下水面が下がって地面が露出する。

砂粒の隙間の地下水と地表水の関係を示す模式図です。地下水面を水平に単純化し、砂丘の移動や流動、局所的な地層の違いは省略しています。水色の地下部分は洞窟や空洞ではなく、水で飽和した砂です。

同じ場所でも、雨季と乾季で変わる水面

雨の補給が減り、蒸発などによる水の損失が続くと、地下水面は下がります。浅い窪地の水面は縮み、やがて地表から見えなくなります。湖が消えたからといって、その瞬間に周囲の砂の地下まで完全に乾いたわけではありません。

砂丘間の窪地は、一つひとつ深さが違います。地下水面が同じだけ下がっても、浅い窪地は先に干上がり、深い場所には水が残ることがあります。同じ地域の湖が、一斉に消えるとは限りません。

さらに、砂丘の移動で窪地の形や位置が変われば、水面の輪郭も変わります。ある年に見た湖の姿が、次の年もそのまま再現されるとは限りません。水の増減と砂の移動が、異なる速さで景観を書き換えています。

風と地下水の周期を組み合わせた砂丘の研究

砂丘の形は、風だけで説明できるのでしょうか。Lunaらの研究は、地下水面が季節的に上下する条件を砂丘の数値モデルに取り入れ、この問いを検討しました。2011年にプレプリントが公開され、2012年に論文となった研究です。

計算では、地下水面の変動の周期や幅を変えると、砂丘の列や砂丘間の水域の形も変わりました。湿った低地が砂の移動を制約するため、地下水は湖の有無だけでなく、砂丘そのものの発達にも関わるという結果です。

これは、すべての湖の出現日を予言した研究ではありません。風、砂、水を切り離さずに扱うことで、レンソイスらしい形がどう生まれるかを試したものです。白い砂と青い水は偶然に同居しているのではなく、互いの動きを変えながら、この海岸の景観をつくっているのです。

参考資料

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