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グレートディバイディング山脈は何を分けているのか 川の行き先と東西の気候

公開日

グレートディバイディング山脈の「ディバイディング」は、分けるという意味です。主に分けているのは、雨が地面に落ちた後の行き先。東岸の海へ向かう水と、大陸の内側へ向かう水の境界をなす高地が、オーストラリア東部に続いています。

ただし、大陸を貫く一本の鋭い壁を思い浮かべると、実際の地形とはずれてしまいます。山地だけでなく台地や丘陵を含む広い高地帯で、分水界も、目立つ峰の列と必ず一致するわけではないのです。

峰の高さより、雨水が流れる斜面の向き

屋根の左右に落ちた雨が別々の雨どいへ向かうように、地面でも、尾根や高まりの左右の水が違う川へ流れることがあります。どちらの側に落ちたかで行き先が変わる、その境界が分水界です。

地表の傾きが緩くても、水が向かう先が違えば分水界はあります。逆に、目立つ高山の両側から出た川が下流で合流するなら、その峰だけを大陸規模の分水界と呼ぶことはできません。重要なのは高さの順位ではなく、水系を分ける位置なのです。

グレートディバイディング山脈も、全区間が切り立った連峰ではありません。ニューサウスウェールズ州のノーザン・テーブルランズのように、丘、谷、台地、山地が組み合わさる高地が含まれています。

東岸への短い道と、内陸を経由する長い道

東側の斜面の多くでは川が太平洋側の海へ下るのに対し、南東部の内陸側には、マレー・ダーリング川の広い流域が展開します。同じ東部高地を出発点としても、内陸へ向かった水は大きく回り込み、南岸に達するのです。

「最も近い海へ流れる」とは限りません。川は地図上の最短距離ではなく、地面の低くなる方向をたどるからです。東の海までの直線距離が短くても、間に分水界があれば、そのまま越えることはできません。

地表の傾きが分ける雨水の行き先
山地の分水界から、東の近い海と内陸の低地へ水が分かれる断面。内陸側の水系には海へつながるものと内陸湖で終わるものがある。

上段は東部高地の働きを簡略化した模式断面です。下段の二つの水系は別の地域の例であり、同じ地点で川が二方向へ分岐するという意味ではありません。距離・標高は比例せず、北部を含む全水系は網羅していません。

内陸側の水が、すべて同じ海へ出るわけではない

内側へ流れる川の行き先も、緯度や場所によって異なります。マレー・ダーリング水系は海への出口を持ちますが、エア湖流域では水が大陸内部の低地へ集まり、海へ続く流出口はありません。

したがって、山脈を境に「東は太平洋、西はすべて別の海」と二色に塗り分けるだけでは不十分です。大きな分水界の内陸側にも、流域同士を分ける境界があるからです。

さらに、低平で乾燥した土地では、地形上は下流へつながる経路があっても、水が途中の湿地や湖で蒸発して届かないことがあります。川の線がつながっていることと、その日に水が連続して流れていることは同じではありません。

海からの湿った風を持ち上げる高地

この高地帯の働きは、地面に落ちた雨水の振り分けだけではありません。海から湿った東寄りの風が来ると、地形に沿って上昇し、冷えて雲が発達しやすくなります。この効果が、沿岸側の雨を増やし、内陸側との降水差をつくる一因なのです。

ただし、風向きはいつも同じではありません。南部へ西から前線が来る場合などは、山に対する風上・風下の関係も変わります。山脈の東側を一年中雨の側、西側を一年中乾いた側と決めつけるわけにはいかないのです。

オーストラリア内陸の乾燥には、亜熱帯の高気圧や海からの距離も関わります。山脈を取り除けば大陸全体が湿潤になる、という単純な関係ではありません。

西側の低圧部がもたらす、内陸の雨

意外なのは、高地の西側が雨を受ける仕組みもあることです。夏を中心に地表の強い加熱と地形の影響が重なると、山脈の内陸側に細長い低圧部が形成され、イースタリー・トラフ、あるいはインランド・トラフと呼ばれます。

この低圧部は、沿岸寄りの湿った空気と内陸の乾いた空気の境に関わり、にわか雨や雷雨を起こす重要な要因になります。上空の低圧部や前線などと組み合わさると、まとまった雨をもたらすこともあります。

分水界は地面に刻まれた比較的持続的な境界ですが、雨雲の境界は風や気圧配置とともに動きます。グレートディバイディング山脈は、この二つを同じ線にしてしまわずに理解すると、その名前以上に多くの役割を持つ地形だとわかります。

参考資料

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