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マレー・ダーリング川の流域はどこまで広がるのか 乾いた大陸を流れる水の道

公開日

マレー・ダーリング川の流域は、オーストラリア南東部の100万平方キロメートルを超える地域に広がります。二本の大河の岸辺だけではなく、支流、湿地、氾濫原、そしてそこへ雨水を送る土地までを含む範囲です。

乾いた平原を流れる水の一部は、遠い東部の山地から来ています。ただし、北部と南部では雨の降り方も川の流れ方も違い、地図に描かれたすべての川が常時一本につながっているわけではありません。「広大な流域」と「豊富で安定した水量」を分けると、この水系の特徴がはっきりします。

四つの州と首都特別地域をまたぐ集水域

流域はクイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州、オーストラリア首都特別地域にまたがります。州境で囲まれた一つの行政区画ではありません。雨水がどの川へ集まるかという地形上のまとまりが、複数の行政区域を横切っているのです。

東側や南側ではグレートディバイディング山脈の高地が大きな境界となりますが、内陸側の低平な場所では分水界が目立ちにくくなります。険しい山で囲まれた鉢だけが「盆地」ではなく、わずかな土地の高低が流域を分ける場合もあります。

首都キャンベラを流れる水も、この大きな仕組みの一部です。近くのマランビジー川からマレー川へつながり、東岸の海へ最短距離で出るわけではありません。

ウェントワースで合流する、二つの主要な水の道

マレー川は南東部の山地から西へ向かい、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州の境界に沿って流れます。マランビジー川やゴールバーン川などの支流を受け、南オーストラリア州へ進みます。

一方、北部の雨を集めるコンダマイン川、バロン川などの水系は、ダーリング川につながり、内陸の長い経路へ水を送り込みます。そのダーリング川がマレー川に出会うのがウェントワースです。

合流した水はさらに下流へ進み、湖を経て南岸のマレー川河口へ向かいます。名前をつなげた「マレー・ダーリング」は一本の川の名称ではなく、異なる源流を持つ大きな水のネットワークを表しているのです。

主要な合流関係と、河口への経路
北部の川を集めるダーリング川がウェントワースでマレー川に合流し、南東部の山地からの支流も受け、下流の湖を経て河口へ進む関係。

合流関係を示す水系の概念図で、地図ではありません。線の向き・長さ・太さは方位・距離・流量を表していません。支流の多く、ダム、取水・放流、分岐は省略しています。下段は流域に含まれる河川の接続性に差があることを補足しています。

北部の不規則な流れと、南部の山地の水

北部には、雨の有無による流量の変動が大きく、流れが途絶える川があります。大雨の際には広い氾濫原へ水が広がり、乾燥期には水のある区間が限られることもあります。大きな川の線が地図にあっても、一年中同じように流れるとは限りません。

南部の主要河川は、オーストラリア・アルプスなどの比較的雨や雪に恵まれた山地から水を受けます。さらに、貯水池で蓄えた水を放流するため、自然の降雨・融雪の時期と、下流へ届く時期がそのまま一致しない場合があります。

北はすべて自然河川、南はすべて人工河川という区分ではありません。地域全体の傾向として、雨への応答と貯水池による調整の違いが大きいのです。同じ一つの流域の中に、異なる水の時間割があると考えるとわかりやすいでしょう。

流域に含まれても、下流へ水が届かない川

さらに複雑なのは、マレー・ダーリング流域として扱われる川が、すべて同じ程度につながっているわけではない点です。気象局の地域説明では、ウィメラ川は本流の下流へ流量を供給せず、パルー川やラクラン川も下流への接続はまれだとされています。

水が低地の湿地や湖へ広がると、蒸発や浸透によって流れが弱まります。大規模な増水で初めて別の川へ達する経路もあり、青い線だけでは、その接続が普段からあるのか、例外的なのかまでは伝わりません。

このため、水系図は配管図とは違います。蛇口を開けば末端まで水が届く閉じた管ではなく、途中で土地や大気、生態系と水をやり取りする開かれた流れなのです。

広さだけでは決まらない、下流の水量

雨が集まる土地が広くても、その雨量が少なく、蒸発する量が多ければ、河口へ届く水は限られます。流域の大きさからアマゾン川のような水量を想像することはできません。水の供給と途中の移動・貯留を合わせて考える必要があります。

流域の水は、灌漑や都市の供給に使われるだけではありません。川からあふれて湿地へ届く水が森林や魚、水鳥を支え、流れの時期や続く長さも生態系を左右します。下流へ流す量だけでなく、途中のどこへ、いつ届くかにも意味があるわけです。

また、この流域の一部と重なる大鑽井盆地は、地下の地層と帯水層を中心とした別のまとまりです。地表の川が集まる範囲と、地下水を蓄える地質の範囲は一致しません。オーストラリアの水を理解するには、同じ土地の上と下に異なる境界があることも重要なのです。

参考資料

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