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ニューギニア島はなぜ中央に高山が連なるのか 島の形を変えた地殻の衝突

公開日

赤道のすぐ南にあるニューギニア島には、標高4,000メートルを超える山々が連なっています。最高峰プンチャック・ジャヤは約4,900メートル。熱帯の海に囲まれた島の中央に、これほど大きな山地があるのはなぜでしょうか。

鍵になるのは、この島がオーストラリア大陸の北側の縁に位置することです。そこへ海側の地殻や火山の列が衝突し、地層を折り曲げ、重ね合わせてきました。島の中央を貫く山並みは、噴火でできた山を一列に並べただけのものではありません。

オーストラリア大陸の縁に接ぎ足された島

海岸線は陸と海の境界ですが、地殻の成り立ちまで区切る線ではありません。ニューギニア島の南側や中央山地の広い範囲には、北オーストラリアとつながる地質的な来歴があります。一方、北側には、海底や島弧に由来する岩石が多く分布してきました。

島弧とは、沈み込み帯に沿って弧を描く火山島の列のこと。ニューギニアでは、そうした海側の地塊と、オーストラリアの大陸側の地塊が接近しました。現在は一つの島に見えても、その材料が初めから同じ場所にあったわけではないのです。

異なる地塊の衝突や接合、その後の断層に沿った横ずれによって、島の輪郭と内部の山地は変わってきました。地質図で岩石の種類や年代を調べると、海岸線だけではわからない「大陸の縁」と「後から加わった部分」の違いが現れます。

横から縮められ、厚みを増した地殻

地殻が両側から押されると、地層はどうなるでしょうか。条件によっては波打つように曲がり、別の場所では断層を境に一方がもう一方へ乗り上げます。前者が褶曲、後者が逆断層による変形です。

もともと横に広がっていた岩石の層が狭い範囲へ重なって収まることで、地殻は厚みを増し、山地ができる一因となります。ただし、増えた厚みのすべてが、地表に現れるわけではありません。高い山の下では、地殻が地下の深い側へも厚くなる場合があります。

地層を曲げる褶曲と、地層を重ねる逆断層
上段は地層が波状に曲がる褶曲。下段は左上側の地層が断層面に沿って右上へ乗り上げる逆断層。同じ色の地層が断層を境に上下にずれている。

圧縮による二つの変形を分けた模式図です。上下は前後の時点ではなく別の例で、ニューギニアの実測断面や特定の断層の復元ではありません。岩石の厚さ、変形量、地下の形状は比例せず、侵食や横ずれ運動を省略しています。

ニューギニアの中央山地には、こうした褶曲と逆断層が集まる帯が存在します。西部の岩石や断層を調べた研究でも、地層が圧縮された後に、横ずれの運動が重なった経緯が報告されました。衝突とは、二つの硬い板が一度ぶつかって止まる出来事ではなく、長い時間をかけて岩石の配置を変える過程なのです。

ただし、地殻を縮めた量が、そのまま山の高さになるわけではありません。地下の岩石の密度や温度、地殻全体の支えられ方、地表を削る侵食も関係します。「押されたから盛り上がった」は出発点として有効でも、それだけで個々の山の標高までは決まりません。

標高約4,900メートルの頂にある石灰岩

この山地の成り立ちを象徴するのが、プンチャック・ジャヤの石灰岩の稜線です。石灰岩には、浅い海などでたまった炭酸カルシウムを主成分とするものが多く、海でできた地層が高山に持ち上げられることもあります。

そこで区別したいのが、「岩石ができた時」と「山が高くなった時」。海底で堆積した材料が固まり、ずっと後の地殻変動で曲げられ、隆起して地表に現れるという順序です。山頂の岩石の年代だけを測っても、山頂がいつからその高さにあったかはわかりません。

ニューギニアにも火山はありますが、溶岩の積み重なりだけでは、この石灰岩の稜線を説明できません。ほかにも広範囲に曲がった堆積岩があり、山の形と同じくらい、山を構成する岩石が成因の手がかりになるのです。

正面衝突だけでは説明できない横ずれ

ニューギニアの周囲で起きてきたのは、真北と真南から一直線に押し合う運動だけではありません。斜めからの接近には、地殻を縮める成分と、互いを横へずらす成分があります。

そのため、山を高くする変形と、地塊を横方向へ運ぶ変形が、場所や時期を変えて現れます。西部中央山地を調べた2016年の研究では、褶曲や逆断層を生んだ段階に続き、横ずれ断層の活動が重要になったと説明されました。

一方、島の東部と西部が、まったく同じ時期に同じ経過をたどったわけではありません。現在の山並みの下には、より古い変動を受けた岩石も含まれています。地形の連続性と、形成史の一様さは別の話です。

「中央山地ができた年代」を一つだけ挙げにくいのは、このためです。衝突の始まり、岩石が地下から地表へ出てきた時期、現在に近い険しい地形の成立を区別すると、異なる年代が示される理由もはっきりします。

高くなる山と、削られて低地へ運ばれる岩石

山をつくる作用は、地表を削る作用と同時進行です。湿潤な熱帯では、雨水による風化、河川の侵食、斜面の崩壊が、山の岩石を絶えず取り去ります。

山頂が高いからといって、そこにあった岩石がそのまま残っているとは限りません。上の岩石が削られれば、以前は地下にあった岩石が露出してきます。地質学では、地表の高さが上がることと、岩石が地表へ近づいて姿を現すことを分けて考えます。

では、地下にあった岩石が地表へ出てきた時期を、どう調べるのでしょうか。手がかりの一つは、深い地下から浅い場所へ移る際の温度低下です。鉱物に残る温度変化の記録を使えば、標高を直接測れなくても、岩石が地表へ近づいた過程を推定できます。

2023年の研究は、中央山地の地質構造と鉱物の記録を組み合わせ、約1,000万〜600万年前の急速な岩石の露出を検討しました。さらに、雨の多い熱帯で新鮮な岩石が供給されることが、化学風化を通じた二酸化炭素の消費を強め、当時の地球の寒冷化に寄与した可能性をモデルで示しています。

これは、ニューギニアの隆起だけで当時の気候変動のすべてが説明できる、という結論ではありません。ただ、山地の形成が島の標高を変えるだけでなく、岩石・水・大気のやり取りにも影響することを示す研究です。ニューギニアの高山は、大陸の縁が変形した結果であると同時に、地球の物質循環が活発に進む場所でもあります。

参考資料

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