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済州島の溶岩洞窟はどうできたのか 流れる溶岩の中に残った空洞

公開日

済州島の地下には、人が入れるほど大きなトンネルが延びています。川が長い時間をかけて穴を削ったものでも、人が掘ったものでもありません。かつて中を流れていたのは、高温の溶岩でした。

溶岩洞窟の基本的な成り立ちは、外側が先に固まり、その内側を流れていた溶岩が抜けることです。ただし、「溶岩が冷えたら穴になった」だけでは不十分でしょう。冷えた表面がなぜ内部の流れを守り、その流れがどのような痕跡を残すのかに、洞窟の面白さがあります。

溶岩の川にできる、岩石の屋根

空気に触れた表面が冷えて固い皮になっても、下から熱い溶岩が供給されていれば、内部まで同時には固まりません。外側は岩、内側は流れる溶岩という、温度の異なる層ができます。

溶岩の水路の両岸から固い部分が張り出し、屋根をつくる場合もあります。また、表面が固まりながら膨らむ溶岩流の内部で、流れが特定の経路に集中して管状になることもあります。溶岩洞窟の屋根は、一つの方法だけでつくられるわけではありません。

米国地質調査所は、ハワイでの観察をもとに、溶岩水路を覆う皮、両岸への溶岩の付着、浮いた固い板の結合、溶岩の舌状の広がりの内部にある流路などを区別しています。済州島の古い洞窟を考えるときにも、活動中の火山で見られるこうした形成過程が手がかりになります。

固まった屋根が、溶岩を遠くまで運ぶ仕組み

屋根ができると、流れが止まりそうに思えるかもしれません。実際には逆の効果もあります。岩石の屋根と壁が断熱材となり、内部の溶岩が外気へ失う熱を減らすのです。

むき出しの流れと、岩の屋根に覆われた流れでは、どちらが冷めにくいでしょうか。熱を逃がしにくい管の内部なら、溶岩は流動性を保ち、噴出口から離れた場所まで届きやすくなります。管ができることで、その後の溶岩の広がり方まで変わるのです。

流れている間に屋根ができ、あとから空洞が残る
同じ溶岩トンネルの縦断面を上下に比較。上段では固い屋根の下に赤い溶岩が流れ、下段ではその通り道が空洞になっている。

溶岩チューブの形成を説明する模式図です。内部がすべて排出されず、床に溶岩が残る場合もあります。洞窟の実際の傾斜・高さや、済州島の特定地点の断面ではありません。

やがて供給が減るか、流れの経路が変わり、内部の溶岩が下流へ抜ければ空洞が残ります。逆に、溶岩が抜けずにそのまま固まれば、内部は埋まります。地下に溶岩が流れた場所が、すべて人の入れる洞窟になるわけではありません。

洞窟の壁に残る、流れていた高さの記録

壁に沿って張り出す棚状の形は、かつての溶岩の高さを考える手掛かりです。流量の変化で表面が上下し、それぞれの高さで冷え固まる部分ができた場合には、一つの管に複数の痕跡が残ります。

床には表面が引きずられた縄状の模様、天井には溶岩が垂れ下がった小さな突起が残ることもあります。今は冷たく硬い空間ですが、これらの形が生まれたとき、岩の表面はまだ熱く、変形できる状態でした。

ただし、床の岩がすべて最後の一回に流れた溶岩とは限りません。流れが何度も通れば、洞窟の床を覆ったり、新しい高さに通路をつくったりします。一本の滑らかなパイプを想像するより、流れの履歴が内壁に重なった空間と考えるほうが適切です。

済州島の黒い洞窟を飾る、白い炭酸塩

済州島のコムンオルム溶岩洞窟群では、黒い溶岩の壁だけでなく、白い鍾乳石や石筍などの炭酸塩の生成物も重要な特徴です。溶岩洞窟なのに、石灰岩の洞窟を思わせる飾りがあるのです。

その材料には、地上の砂丘に含まれる貝殻などの炭酸塩が関わります。雨水がその成分を溶かして地下へ運び、洞窟内で再び沈殿すると、天井から垂れる形や床から育つ形ができます。溶岩が白い鍾乳石に直接変身したわけではありません。

UNESCOへの拡張登録資料でも、洞窟の炭酸塩と上にある砂丘の炭酸塩の関係が調べられています。火山がまず空間をつくり、その後に海に由来する材料と雨水が内部を飾る。違う時代と環境の働きが、一つの洞窟に重なった例です。

地下の空洞と地上の環境が切り離せない理由

洞窟は地上から隔離された空間ではありません。天井の割れ目や孔から水と溶けた成分が入り込むため、地表の砂、土壌、植生の状態も地下の環境へつながっています。

また、天井の一部が崩れれば、洞窟には外からの光が差し込む穴ができます。活動中の溶岩流でも、屋根が落ちて内部が見える「スカイライト」が観察されています。洞窟の口は、噴火当時からの出口だけとは限りません。

済州島の溶岩洞窟は、空っぽになった溶岩の通り道であると同時に、流れの高さ、冷却、崩落、地上からの浸透の記録でもあります。最初に空間をつくった熱い流れと、その後の冷たい水の働きを分けることで、黒い壁と白い生成物が共存する理由も理解できます。

参考資料

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