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ブラマプトラ川はなぜヒマラヤを回り込むのか 高原から低地へ続く巨大な峡谷

公開日

ヒマラヤの北側を東へ流れていた川が、山脈の東端で大きく向きを変え、深い峡谷を抜けて南へ下ります。その後、インドの平野では西寄りへ。ブラマプトラ川の流路は、地図で見ると山を抱え込むような大きな折り返しです。

川が山の高さを見比べて、いちばん楽な道を選んだ結果ではありません。川筋ができた歴史と、山が隆起してきた歴史が重なった流路です。現在の山の形だけで、川の過去を説明しようとするところに、この疑問の難しさがあります。

ヤルンツァンポからブラマプトラへ続く一本の流れ

チベット高原のヤルンツァンポ、東ヒマラヤからインド側へ下るシアン、アッサム平野のブラマプトラ。地図に異なる名前が並んでいても、流れはつながっています。大きな支流を合わせながら、同じ水系が高原から低地へ続いているのです。

主稜線の北を東へ流れてきたヤルンツァンポが、ナムチャバルワ付近で大きく向きを変える場所がグレート・ベンドです。川は山脈の東端を回ると同時に、深い峡谷を刻んで低地へ下ります。

高原と平野を結ぶ、東ヒマラヤの大屈曲
高原の川は東へ進み、ヒマラヤ東端のナムチャバルワ付近で南へ曲がり、アッサムの平野を西へ進む。

大まかな方位と接続を示す模式図です。流路・山脈・距離を測れる地図ではなく、深い峡谷が山地を横切ることを省略した平坦な迂回路という意味でもありません。

したがって、「山を避けて平らな場所だけを通る川」ではありません。むしろ、急速な隆起と深い侵食が集中する山地を通り抜けています。地図上の曲がり方と、川が下る高低差を合わせて考える必要があります。

川の道が先にあり、山があとから高くなる場合

川は、その時点の地形に従って低いほうへ流れます。しかし、地形は固定されていません。川の下の土地がゆっくり持ち上がっても、川が岩盤を削り続けられれば、以前からの流路を保つことがあります。

このように、地形の隆起より前の流れを保って山地を横切る川は、先行河川と呼ばれます。完成した山に向かって水が上り、反対側へ越えたという意味ではありません。水は下り続け、その間に周りの土地が高くなったのです。

ただし、ヒマラヤより古い川が全区間そのまま残った、と言えば説明が終わるわけでもありません。流域の接続は途中で変わり得ます。東ヒマラヤの研究では、古くからの流路の保持と、別の川に流れが奪われる河川争奪の両方が検討されてきました。

山の両側を結ぶ、砂粒の産地調査

昔から川がつながっていたかどうかを調べる方法の一つは、下流の古い堆積物に含まれる砂粒の出身地を特定することです。岩石に含まれるジルコンという鉱物は、年代や成分によって産地の手がかりを残します。

2014年の研究では、東ヒマラヤの麓に堆積した地層のジルコンを調べ、ヤルンツァンポ・シアン・ブラマプトラの接続が、山脈東端の急速な岩石の露出に先行していたと示しました。下流に残る砂粒が、上流との昔のつながりを示す証拠になるのです。

一方、ミャンマーの古い堆積物を調べた別の研究では、さらに古い時代のヤルンツァンポが、エーヤワディ川側へ排水していた可能性が示されています。これらは、現在の流路を太古から不変とみなすことができない理由でもあります。

何百万年も前の川を直接観察することはできません。それでも、運ばれた砂や埋まった谷を調べることで、川のつながり方を制約できます。地形の見た目だけで作る説明より、検証できる手がかりが増えるのです。

地下に埋まった谷が示す、隆起の加速

2014年に公表された別の研究では、ヤルンツァンポ上流側に、500メートルを超える堆積物に埋もれた古い谷が見つかったと報告されました。現在の平らな谷底の下に、もっと深く掘られた過去の谷があるのです。

研究者は谷底の形と堆積物の年代から、約200万〜250万年前に岩盤の隆起が速まり、峡谷の勾配が急になったと推定しています。隆起した部分の上流側には土砂がたまり、古い谷が埋められたと解釈されます。

先に山が持ち上がったのか、川が激しく削ることで山の変形が促されたのか。この研究は、侵食だけが隆起を引き起こしたという一方向の説明を見直す材料になりました。山の隆起と岩石の除去が、いつ、どのように影響し合ったかが問われています。

峡谷を出た川が、平野で何本にも分かれる理由

山地の深い谷を通る川は、狭い岩の間へ流れを集中させます。ところがパシガート付近からアッサムの低地へ出ると、川幅が大きく広がり、いくつもの流路と砂州が組み合わさった姿になります。

NASAの衛星画像では、砂州の両側へ分かれては合流する網状の流路を確認できます。山地からの大量の土砂を、平坦な低地では運びきれずに堆積させるためで、峡谷の一本の流れとは対照的な姿です。

高原の長い川、山脈東端の深い峡谷、平野の網状の流れは、別々の現象ではありません。同じ水が、隆起する岩盤を削り、その材料を低地へ運んでいます。ブラマプトラの大きな曲がりは、完成した地図の上に引いた遠回りではなく、川と山が互いに形を変えてきた歴史の一部なのです。

参考資料

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