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泥火山は普通の火山と何が違うのか ルーマニアの地中から噴き出すガスと泥

公開日

ルーマニアのブザウ地方には、小さな円錐形の山の頂上から、灰色の泥が泡を出しながら湧く場所があります。見た目は火山の縮小模型ですが、溶岩が冷えて泥になったものではありません。地下のガスが、水や細かな堆積物とともに地表へ上がる「泥火山」です。

ブザウの代表的な泥火山では、マグマの高温ではなく、地下の堆積層と天然ガスの働きが重要になります。同じように泡が出ていても、熱水地帯の沸き立つ泥池とは、仕組みを分けて考える必要があります。

噴き出す材料は、溶けた岩石ではなく泥と水

通常のマグマ性の火山では、地下のマグマが上昇し、溶岩や火山灰などを放出します。一方、ブザウ地方の泥火山は、地中にあるガスが泥や水を伴って上がり、出口の周囲へ材料を積み上げます。

泥は細かな鉱物粒子が水と混ざったものです。岩石が高温で溶けているわけではないため、赤く光る溶岩の冷却過程を想像しても成因はつかめません。円錐形という見た目が似ていても、材料とエネルギーの仕組みが違うのです。

泥火山という名の「火山」は、地下から噴き出して周囲へ積もる形に注目した呼び方です。名前に火が含まれるからといって、すべてをマグマと結び付けることはできません。

地下のガスが、割れ目を通って地表へ

ブザウ地方はカルパティア山脈が曲がる地域にあり、地層が圧縮され、褶曲や断層を伴う複雑な構造を持っています。その堆積層の地下には、石油や天然ガスに関係する流体があります。

地中で圧力を持ったガスが、通りやすい経路を見つけて上がると、途中の水や細粒の物質を伴います。地表の出口は小さくても、その背景には地下の地層と流体の移動があるわけです。

ベルカ周辺の調査では、噴出ガスの主要成分がメタンであることが報告されています。地上で見える灰色の泥だけでなく、目に見えないガスが地形形成を動かしているのです。

溶岩の代わりに、ガスと泥が上がる泥火山
堆積層の割れ目をガスと水と泥が上がり、地表で泡を出して泥を積み上げる断面模式図。地中にマグマ溜まりは描いていない。

ルーマニアの堆積性の泥火山の仕組みを示す模式図です。実際の通路・深さ・ガス量ではなく、熱水性の泥池など、他地域の似た外観の地形まで同じ仕組みとは限りません。

ぽこぽこと出る泡は、沸騰の証拠ではない

泥の表面が丸く膨らみ、割れる。その動きは煮立つ鍋に似ていますが、泡は下から届いたガスでも生じます。ブザウの泥火山の泡を見て、水が高温で沸騰していると判断するのは誤りです。

一方、世界には火山性の熱水活動によって泥が動く場所もあります。見た目だけで、別の土地の泥池まで冷たいと推定することもできません。「泡があるか」より、「何が泡をつくり、何が水や泥を動かすか」が違いを分けます。

地下からガスが出ることと、地表で炎が上がることも別です。ブザウ地域にはガスの湧出と炎で知られる場所もありますが、泥火山で溶岩が燃えているという意味ではありません。

泥の粘りで変わる、小山と水たまり

噴き出す泥が粘り強ければ、遠くまで流れず出口の周囲に積もり、比較的高い円錐をつくりやすくなります。水の割合が大きく流れやすければ、低く広がった形や、泥の池状の形になります。

実際の形は、ガスの圧力や供給量、噴出の繰り返しにも左右されます。同じ地域に小山と平たい泥面があるのは、必ずしも活動の新旧だけが理由ではありません。出てくる混合物の性質が違う場合もあるのです。

流れ出た泥の形も、そのまま残るわけではありません。乾燥して縮めばひび割れ、雨が降れば流れが細い溝を刻みます。地下からの供給でできた地面を、地表の水と乾燥が再びつくり替えるのです。

草の少ない灰色の地面と、塩を含む水

ベルカの泥火山では、噴出水に多くの塩分が含まれることも調査されています。新しい泥で地面が覆われることに加え、塩の多い条件は、多くの植物にとって生育上の制約になります。

周囲が緑でも、噴出口の近くが灰色の裸地に見えるのは、熱で一帯が焼けたからとは限りません。泥の供給、塩分、水分、乾燥、侵食が、植物の入り込みやすさを変えています。

ブザウの泥火山は、火を噴く火山の未完成品ではありません。地下のガスと堆積物が地表へ出ることでつくられる、独立した地形です。小さな泡を観察するだけでも、地下の資源、岩盤の割れ目、地表の乾燥までが一つにつながります。

参考資料

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