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ヨハネスブルクはなぜ川や海から離れた場所にできたのか 高原の金鉱床が生んだ都市

公開日

港でも、大きな川の渡し場でもない高原に、なぜ南アフリカ最大級の都市が生まれたのでしょうか。ヨハネスブルクをこの場所へ引き寄せたのは、水上交通ではなく、地下へ続く金を含んだ岩層でした。

1886年に始まった金鉱の開発は、人と資本を集める一方、大量の水を必要としました。便利な水辺へ都市を置くのではなく、鉱床の近くへ都市を置き、後から水を運ぶ。その順序が、この都市の成り立ちを特徴づけています。

1886年の金発見と、動かせない鉱床

ヨハネスブルクの出発点は、ウィットウォーターズランドでの金鉱開発です。市の公式史も、1886年の発見をきっかけに入植地が急成長したと説明しています。船が入りやすい湾を選んだ港町とは、立地を決めた条件が違いました。

金が地下にある以上、採掘の場所を水の豊富な土地へ移すことはできません。労働者の住居、商店、輸送設備を鉱山の近くへ集める方が都合がよく、その集積が次の人や仕事を呼び込みました。最初から大都市に適した自然条件がそろっていたわけではないのです。

金を含むのは、古い砂や礫が固まった岩層

ウィットウォーターズランドの金鉱床には、石英の礫を含む礫岩が重要です。礫岩とは、小石や砂などが堆積し、固まってできた岩石のこと。金鉱と聞いて想像しがちな、細い金色の筋だけが岩の中を走る姿とは異なります。

南アフリカ水衛生省の地質資料は、上部のセントラル・ランド層群を、古い河川の堆積物に富む地層として区分しています。金を含む層を追う仕事には、地表の一か所を掘るだけでなく、地層が地下へどう傾き、どこへ続くかを把握する必要がありました。

現在の市街地を流れる川が金を集めた、という話ではありません。岩石ができた遠い過去の水の働きと、その岩石を採掘する近代都市の水不足は、まったく違う時間の出来事です。同じ土地に、古い堆積環境と新しい都市の歴史が重なっています。

小川や泉では支えきれなくなった都市と鉱山

「川から離れた都市」は「水が一滴もない都市」ではありません。初期の住民は小川や泉を利用し、その後は井戸や地下水の開発も進みました。水研究委員会の歴史資料には、複数の水道会社や揚水施設が登場します。

問題は、存在する水の量と、増えていく需要が釣り合うかどうかでした。生活用水に加え、鉱石を処理する工程にも水が要ります。集落の規模なら使えた水源が、鉱業都市へ成長すると不足する。その変化に対応するため、供給範囲を外へ広げていったわけです。

鉱床の近くへ集まった都市を、広域の水供給が支える
上段は地下へ傾く金を含む層と地表の都市、下段は低い水源側から高原の都市へ水を送る関係。

鉱床の立地と送水の関係を示す模式図です。鉱床の傾斜、施設の配置、送水路の断面は実測ではありません。

ヴァール川の水を高原へ運ぶ仕組み

現在のヨハネスブルクの水道は、市の足元だけで完結していません。政府の説明によると、ランド・ウォーターが統合ヴァール川水系から原水を取り、処理・貯留・送水を行い、市の配水網につないでいます。高い場所まで水を届けるため、ポンプと貯水施設が不可欠です。

さらにヴァール川水系自体が、レソト高地などからの導水で支えられています。水道の蛇口から逆にたどれば、市境を越え、別の流域や国境の向こうへ行き着くこともあります。行政上の都市の広さと、都市を支える水の範囲は一致しません。

水源を持つだけでは足りない、高原都市の給水

遠方のダムに水があっても、それだけで高原の家庭へ届くわけではありません。低い場所から高い場所へ送るにはエネルギーが必要で、原水を処理する施設、途中のポンプ、需要の変動を吸収する貯水設備が一つの系統をつくります。水のある場所と、使える場所の間には、複数の段階があるのです。

これは、水源の不足と配水の問題を区別する理由にもなります。市内の給水状況を説明する際には、流域の貯水量だけでなく、送水と貯留の状態まで確かめる必要があります。金鉱のそばへ都市を置いたという最初の選択は、その後も都市の運営条件として残りました。

鉱山都市を支える、見えにくい地理

港町なら、海と岸壁を見れば都市の理由を想像しやすいでしょう。ヨハネスブルクでは、地下の鉱床と遠方からの送水路が、その役割を担いました。地表の地図だけでは、都市を成立させた条件の半分しか見えません。

金の発見だけで、その後の社会や都市構造がすべて説明できるわけでもありません。労働制度、政治、交通網、企業活動が成長の形を決めてきました。それでも、都市の場所を選ばせた資源と、その場所の弱点を補ったインフラを分けると、海辺ではない大都市がここにある理由がはっきりします。

参考資料

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