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タクラマカン砂漠の周囲になぜオアシスが並ぶのか 山の雪解け水と地下水

公開日

タクラマカン砂漠を囲む地図には、砂の広がりの外縁に沿って、街や農地が点々と並びます。砂漠の真ん中より、山のふもとに緑が目立つのはなぜでしょうか。答えは、その場所に降る雨より、遠くの山から届く水にあります。

タクラマカンはタリム盆地に広がり、北に天山山脈、南に崑崙山脈などがあります。高い山に降った雪や雨、氷河からの融解水が低い盆地へ向かい、地上と地下を通って乾燥地に水を供給しています。

乾いた盆地のそばに、雪を蓄える高い山

タリム盆地は海から遠く、周囲の山地も湿った空気の流入を制限するため、非常に乾燥した環境です。しかし、盆地の底と高山は同じ気候ではありません。山岳では雪として蓄えられた水が、暖かい季節に川へ出てきます。

盆地の住民から見れば雨の少ない年でも、川の上流は別の天候を経験している場合があります。目の前の空だけを見て、川の水源を説明することはできません。流域全体、とりわけ高度の高い部分まで含めて考える必要があります。

雪と氷河の役割も同じではありません。季節的な雪は比較的短い周期で積もって解け、氷河は複数年にわたって蓄えた氷を含みます。どの水がどれだけ川を支えるかは、山域や季節によって異なります。

山の出口で広がる扇状地

山の谷を流れていた川が盆地へ出ると、斜面が緩くなって流れが広がり、礫や砂がたまります。流路の移り変わりとともに土砂が横へ広がって生まれるのが、扇形の「扇状地」です。

衛星画像では、山の出口を中心に細い流路が放射状に広がる様子が分かります。現在水のある川筋だけでなく、過去に水が通った跡も残るため、扇状地全体に水の履歴が刻まれています。

ただし、扇状地ならどこでも農地になるわけではありません。水量が少なければ、流れは途中でしみ込み、蒸発し、砂丘の手前で途切れます。NASAが紹介するタクラマカンの扇状地にも、農地が広がるものと、流路が砂漠で終わるものの違いが見られます。

山の雪解け水とオアシスをつなぐ地下水
山の川が扇状地へ流れ、砂礫に浸透した一部が地下水になる。下流側で地下水を井戸などから利用する断面模式図。

地層と地形を単純化し、破線で地下水面を示しています。すべての扇状地末端で水が湧くわけではなく、地下水位・地層・取水量などによって利用できる場所が変わります。

消えたように見える川が、地下へ続くこともある

礫や砂が多い地面では、水が粒の隙間へしみ込みやすくなります。地表の川が細くなっても、その水の一部は地下水として移動を続けます。砂漠の下に大きな地下川が一本ある、という形とは限りません。

扇状地の下流側では、粒の細かな堆積物が増えたり、地下水面と地表が近づいたりする場所があります。そこで湧水や井戸水を利用できれば、地表を流れる水だけに頼らずに農地を支えられます。

とはいえ、すべてのオアシスが扇状地の末端の泉から生まれたわけではありません。川から引いた灌漑水、地下水、貯水施設など、水を得る仕組みは場所によって違います。共通するのは、周辺の砂漠より継続して水を利用できる条件があることです。

海へ出ない川と、乾燥地に残る塩

タリム盆地の川は、基本的に海へ流れ出ません。灌漑に使われ、地中へしみ込み、低い場所の湖や湿地へ集まった水は、蒸発や植物の蒸散によって大気へ戻ります。海への出口を持たない内陸流域の水循環です。

水が蒸発しても、溶けていた塩類まで一緒には消えません。灌漑を続ける土地で排水が不十分になり、地下水位が高まると、地表近くに塩が集まりやすくなります。乾燥地では、水を運び込むことだけでなく、塩をどう排出するかも耕作を続ける条件なのです。

必要な水を確保することと、使った水や塩をどう排出するかは一組の問題です。砂漠の緑は、水が一度届いた証拠というより、水の供給と管理が続いている場所の表れです。

砂漠を横切るより、周囲の街を結ぶ道

タクラマカン周辺のオアシスは、歴史的な交易路の拠点にもなりました。人や動物が移動するには、水、食料、休息できる場所が必要です。砂漠の中央を最短距離で横切ることより、水の得られる地点を順に結ぶことが現実的でした。

北縁や南縁に沿って街が並ぶ配置は、政治的な線が先に引かれた結果だけではありません。山から水が下りてくる場所が生活の拠点を支え、その拠点が交通路として結び付いてきました。

オアシスが並ぶ間隔は、川の位置や水量、地形によってまちまちです。流路が移って水が届かなくなれば、街や農地も同じ場所には存続できません。現在の緑地から離れた都市遺跡を調べる際には、過去の水系も重要な手がかりになります。

オアシスの広がりを決める、水の配分

上流で取水量が増えると、下流へ届く水が減る場合があります。地下水も、くみ上げる場所だけで完結した資源ではなく、周囲の水位や泉とつながっています。農地が緑になった面積だけを見ても、流域全体の水の状態は分かりません。

山の雪や氷の変化も、水量だけでなく、届く時期を変えます。融解が早まれば、春の水が増えても、夏の需要期に同じように使えるとは限りません。氷河が多く解ける時期の流量増加を、そのまま永続的な水源の増加と解釈することもできません。

砂漠の外縁に並ぶ緑は、地下から突然現れた奇跡ではありません。山で受け取った水を、川、堆積物、地下水、人の水路がつないだ結果です。オアシスの地図は、その背後の山岳まで含めた水の地図でもあります。

参考資料

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