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フィリピンにはなぜ多くの島があるのか 島弧と海面変化がつくった群島

公開日

ルソン島とミンダナオ島の間を拡大すると、大小の島が入り組み、海と陸の境界が何度も現れます。フィリピンは単に「一つの大陸が細かく割れた国」でも、「火山が一つずつ海から顔を出した国」でもありません。

異なる来歴を持つ陸地がプレートの運動で組み合わされ、さらに海面の上昇と低下によって、島のつながり方が変わりました。陸地そのものをつくる働きと、陸地を島として区切る働き。その二段階が、現在の群島の形を理解する鍵です。

東西から力を受ける複雑なプレート境界

フィリピン周辺では、東側と西側の双方に沈み込み帯があります。沈み込み帯とは、一方のプレートが別のプレートの下へ入り込む場所。フィリピン海溝側とマニラ海溝側では沈み込む向きも異なり、国全体を一本の境界線だけで説明することはできません。

地下へ入ったプレートから放出される水などは、上にあるマントルの一部が溶けることに関わります。生じたマグマが上昇して火山をつくり、長い時間をかけて陸地を成長させる仕組みです。

海溝と火山が全く同じ場所に並ぶわけではありません。プレートが斜めに沈み、ある深さで上方のマグマ生成に関わるため、火山の帯は海溝から陸側へ離れた位置にできます。地図上で海溝と島の列を対にすると、目に見える陸地だけでなく、地下へ続くプレートの傾きも想像しやすくなるでしょう。

同時に、衝突や断層の運動で土地が持ち上がったり、地質の異なる部分が接合したりしてきました。火山の噴出物だけでなく、海で堆積した岩石や、海底に由来する岩石が地上にあるのも、この複雑な歴史によります。

パラワン島が示す、島々の異なる来歴

細長いパラワン島を、ルソン島などと同じ種類の火山島としてまとめると、重要な違いが抜け落ちます。パラワンを含む地質のまとまりには、アジア大陸の縁から分かれた地殻の断片が関わっているためです。

一方、多くの島々は島弧と呼ばれる弧状の地質帯の発達に関係します。同じ国の島であることと、同じ仕組みでできた島であることは別。国境より古い地殻の履歴が、現在の地図の下に残っています。

海面が下がると、島の数もつながり方も変化

氷期には、海の水の一部が大陸の氷床に蓄えられ、世界の海面が下がりました。浅い海底が陸になると、今は別々の島でも歩いて移動できるようになります。反対に海面が上がれば、低い部分が水没し、一つの陸地が複数の島へ分かれることもあります。

ただし、海面が下がればフィリピンの全島がつながったわけではありません。深い海峡は海として残り、陸続きになった島のまとまりを区切っていました。現在の海岸線は、その長い変化の一場面にすぎないのです。

浅い海底と深い海峡で異なる、海面低下の影響
同じ起伏に対して海面が低いと左の二つの高まりが陸続きになり、海面が高いと別々の島になる。右側の深い水路は低い海面でも残る。

海面変化の原理を示す断面で、実在の島を復元した図ではありません。フィリピンの全島が氷期に一つにつながったという意味ではありません。

近い島より、かつてつながった島に似る動物

この地理の履歴は、生物の分布にも現れます。フィールド博物館の解説では、サマール島とミンダナオ島側の動物相に共通点がある一方、サマール島と距離の近いルソン島の間には大きな違いがあると紹介されています。

陸上の動物にとっては、地図上の直線距離より、途中に海があるかどうかのほうが重要な場合があります。長い陸路を移動できる動物でも、短い海峡を越えられるとは限りません。氷期の陸続きと、残り続けた深い水路が、島ごとの生物の組み合わせに影響したのです。

ただし、同じ海峡がすべての生物に同じ強さの壁となるわけでもありません。空を飛ぶもの、海水に耐えられるもの、陸上だけを移動するものでは、渡れる条件が違います。島の位置と海底地形に、生物の移動能力を重ねて初めて、似た種がどこまで広がるのかを考えられるのです。

「何島あるか」と「どう生まれたか」は別の問い

フィリピン政府の観光案内では、島の数は7,641とされています。ただし、その数字だけから同じ数の噴火や地殻変動があったと考えることはできません。小さな岩礁も大きな島も、それぞれ一つとして数えられるからです。

島の数には測量の精度や数え方も関わりますが、群島の成り立ちを理解するには、数よりも海底の深さと地質のつながりが有効でしょう。プレートの運動が複雑な陸地を用意し、海面がその高低を選り分けた結果として、多数の島が並ぶ風景になっています。

参考資料

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