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フィンランドにはなぜ湖が多いのか 氷床が削った大地と水のたまるくぼみ

公開日

フィンランドの地図では、陸地の中に水が入り込み、湖の中にも陸地が残り、どちらが地なのか迷うほど複雑な模様が広がっています。雨が多いだけなら、ほかの国にも同じ風景がありそうです。

湖が多い理由は、水の供給より前に、水を受け止める地形が大量につくられたことにあります。氷床が岩盤を削り、土砂を置き、氷が消えた後には地面そのものが持ち上がる。その一連の過程が、現在の湖と水路の配置を生みました。

古い岩盤を削った、動く大陸氷床

氷期のフィンランドは、広大な氷床に覆われていました。氷床は動かない厚い氷の蓋ではなく、自らの重みでゆっくり流れ、底に取り込んだ石や砂で岩盤を削ります。

硬い岩盤でも、割れ目や弱い部分は削られ方が違います。そのため、既にあった地質の構造を利用するように谷やくぼみが発達し、氷の流れた方向と関係する細長い地形も残りました。

氷がなくなった後、低い場所へ水がたまれば湖になります。ただし、フィンランドのすべての湖が一枚の氷に同じ方法で掘られたわけではありません。湖底を削る作用に加え、出口をふさぐ堆積物も重要です。

水をせき止めた砂と礫の高まり

氷床が運んだ土砂は、氷の縁や融け水の流れの中に置き去りにされました。南部のサルパウセルカは、氷床の縁付近で形成された大きな地形の帯です。

その構成は単純な土の壁ではなく、融け水が運び、選り分けた砂や礫の堆積も含んでいます。こうした高まりが水の行き先を制限すると、背後に水がたまりやすくなります。

氷が削ったくぼみと、水を残す出口の高さ
上は流れる氷床が岩盤を削る様子。下は氷が消えた後、くぼみと土砂の高まりの組み合わせに水がたまる様子。

湖をつくる二つの作用を示す模式図です。すべての湖がこの断面に一致するわけではなく、実際には古い岩盤の構造や隆起も関係します。

水がある場所だけでなく、その出口の高さが湖の成立を左右します。深い穴を掘らなくても、浅いくぼみから出る経路が高ければ、湖は残りうるのです。

くぼみに水を注ぎ続けると、最も低い縁を越えたところから外へ流れるため、その縁の高さが背後に残る水の量を左右します。湖をつくった作用を調べる手がかりは、湖底だけではありません。流れ出す川の周囲が岩盤なのか堆積物なのかも、湖の成り立ちに関わる重要な違いです。

埋もれた氷が残す、丸いくぼみの湖

氷床から切り離された大きな氷の塊が、砂や礫の中に埋まる場合があります。後からその氷が融けると、上に載っていた堆積物が沈み、くぼみができます。

このくぼみが水で満たされれば、ケトル湖と呼ばれる小さな湖になります。岩盤を氷が削った湖とは異なり、埋まっていた氷の体積が失われた結果です。

ただし、氷の跡がすべて湖になるとは限りません。水がよく抜ける堆積物に囲まれ、地下水位より高い場所なら、乾いたくぼみとして残る場合もあります。穴のでき方に加えて、水をとどめられる条件がそろって初めて湖になるわけです。

湖の輪郭や周囲の地層を調べると、同じ水面の下にも異なる成り立ちがあると分かります。湖の数だけを数えるより、くぼみと出口の組み合わせを見るほうが、地形の多様さに近づけます。

氷が消えた後も続く地面の隆起

厚い氷床の重みは、その下の地殻を押し下げました。氷がなくなると荷重が減り、地面は長い時間をかけて持ち上がっていきます。フィンランドでは、この氷河性の地殻変動が現在も続いています。

重要なのは、すべての場所が同じ速さで上がるわけではないことです。湖の片側や古い出口が相対的に高くなると、水のたまり方が変わり、別の低い場所へ新たな出口ができる場合があります。

サイマー湖では、不均一な隆起による水位と流出方向の変化を経て、約5,700年前にヴオクシ川が新たな出口となりました。氷がなくなれば地形が完成、というわけではなかったのです。

湖の多さと、一つ一つの浅さは両立する

フィンランドの湖沼地帯では、大きな高低差の少ない土地に水面が広がります。水が深い一つの穴へ集まるより、多くの低地へ分かれ、川や狭い水路でつながる景観になりやすい条件です。

そのため、湖が多いことは、すべての湖がバイカル湖のように深いことを意味しません。面積、数、水深はそれぞれ異なる特徴であり、湖の数も、どの大きさまで含めるかによって変わります。

氷が削った跡、融け水が置いた土砂、氷の重みから戻りつつある地面。フィンランドの複雑な水の地図は、これらが重なってできた地形に、雨や雪解け水が今も流れ込む姿です。

参考資料

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